三回戦!!
王立パルキア騎士学校、実技大会。
トルネの第三回戦。
闘技場。
「おいいいいいいいっ!これはどういうことだ!!?」
トルネの対戦相手、カラン・スポポビッチは、またまた声を荒げていた。
「こ、この試合は、名誉ある騎士のための大会のはずだ!!
それなのに…」
カランはトルネを指差す。
「なんであいつは、あんなわけのわからん仮面をつけているんだ!!
この大会を侮辱するつもりか!!」
「(沈黙)」
トルネはじーっと見ている。
トルネは蝶々の形を模した、変なマスクをたしかにつけていた。
審判のレナードは、またまた大きくため息をついた。
「あれは、今回やつが武器として申請している…、《パピヨンマスク》だ」
「武器?!あれでどうやって相手を倒すんですか?!」
「そんなこと俺が知るか!!!!」
レナードが怒る。
トルネはじーっと見ている。
「もういいだろ!!始めるぞ!!」
レナードはさっさと試合を始めた。
「トルネ対カラン・スポポビッチ!!はじめっ!!」
ドォン!!
カランは剣を構えた。
すると、トルネがカランに近づいていく。
にっこりと笑って、右手を差し出す。
かなり不気味だった。
「なっ、なんだ?握手か?」
こいつ、不気味だが、一応騎士道精神を持っているようだな…。
カランは握手に応じようと右手を差し出す。
キュッ。
「え?」
カランの右手には、トルネのつけていた《パピヨンマスク》が結ばれている。
「な、なんだ?一体何を…、うぐっ!?」
ギュオーーーーーン
突然、カランの視界が真っ暗になる。
気分がひどく落ち込み、吐き気がしてくる。
カランは地面にうずくまってしまった。
「うええええええ…!きぼぢわるい…」
一応説明をすると、
この《呪いのパピヨンマスク》はその名の通り、身につけた者に呪いをもたらすマジックアイテムだ。
身につける、とは、あまり知られていないが、実はマスクをちゃんと頭につける必要はなく、腕や足にくくりつけるだけでも効果を発揮する。
一度呪われれば、聖なる力を使わなければ自分の力で外すことはできない。
トルネは装備する前にちゃんと《せいすい》を飲んでいたので、呪いを受けなかったのだ。
「うぼおおおおおお…」
カランは大分きつそうだ。
呪いには様々な種類があるが、この《呪いのパピヨンマスク》の効果は、吐き気、めまい、鬱、腹痛、過去の嫌な思い出がぶり返す、などの症状をもたらすものだった。
「お、俺なんて…、俺なんてよぉ…」
カランは何か嫌な思い出がずっと蘇っているようだ。
「き、棄権しますぅ…」
「勝者!!トルネ!!」
観客席は大盛り上がりだった。
今回のアイテム:せいすい
武器:呪いのパピヨンマスク