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TORNE!! ~アイテム屋トルネの冒険~  作者: パノパノ
第一章 騎士学校入学記念セール!在庫一掃大作戦!
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王国最強の先生

 

 パルキア騎士学校の入学式が始まった。

 入学したばかりの生徒たちは、校庭に整列している。


「ワシが!!この王立パルキア騎士学校の校長!!ギルモア!!マキアートである!!以上!」


 それだけ言うと、校長は後ろを向いて、さっさと演壇から降りて行ってしまった。

 ずいぶんとあっさりした校長先生のお話に、生徒たちは肩透かしを食らった。


「お、お祖父様(じいさま)ったら…」


 イリスは頭を抑える。

 重要な式典などで話をするときはいつもこれだ。

 どうもギルモアは、こういった式典での挨拶が苦手のようである。


 パルキア騎士学校の校長であるギルモアは、イリスの母の父親。

 つまり、イリスのおじいちゃんだった。

 ちなみに父親のファルコは婿養子である。


 ギルモアは、今ではすっかり好々爺(こうこうや)だが、あれでも昔は騎士団を率いて、【不死身(ふじみ)のギルモア】とか呼ばれ、恐れられていたらしい。


「えー…、続きまして、教員代表からの挨拶です」


 生徒たちは、すっと居住まいを正した。


 壇上に上がってきたのは、スラリとした体格の、黒髪で目つきの悪い男性だった。

 モンスターと戦ってできたものだろうか、顔には大きな傷があり、片方の目が潰れていた。


 怖そう。


 生徒たちはとにかくそう思った。


「あー…、今年から教員代表になったレナードだ」


 レナード…?!レナードってあの…?

 生徒たちがざわつく。


「お嬢、レナードってもしかして…」


「ええ…」


 さすがのイリスも、その名前は知っていた。


 隻眼(せきがん)のレナードといえば、王国騎士団最強の英雄の名前だ。

 ドラゴンを単騎で仕留めただとか、盗賊団を皆殺しにしただとか、逸話には事欠かない。

 しかし、まだバリバリの現役騎士だったはずだが…?


「今日、朝っぱらから、騒ぎがあって呼び出されて…、俺は今、非常に機嫌が悪い…」


 殺気のこもった、あからさまに不機嫌な声に、生徒たちはピタッと静かになる。


「他に、宝石やら、従者やらを寮に持ち込んだ馬鹿はいないだろうな…?

 言っとくが、見つけたら即退学だ。

 俺が見つけた場合は即殺す。聞いた場合も即殺す。

 弁明ができるなんて思うなよ。お前らが言葉を発するよりも、俺の剣がお前らの頭を串刺しにする方が早い。

 こっそり隠しているやつは、今のうちに山にでも埋めておくんだな」


 ドスの効いた脅しに、生徒たちは震え上がった。

 しかしイリスだけは、もし従者を連れてきていたら、山に従者も埋めなきゃいけないのかな?あとで質問してみよう、と思っていた。


「お前らがどう思ってるか知らないが、この学校に入学した以上、貴族だろうが、王様だろうが関係ない。

 モンスターはどうせ、そんなこと気にしてくれんからな」


「俺たちはこれから三年で、お前らみたいにエサだけを与えられ、ぶくぶく太った貴族のボンボンを、いっぱしの騎士に育て上げなきゃあならない。

 これがどれだけ無謀なことかわかるか?あ?

 本物の豚を騎士にする方が、よっぽど簡単だ…」


 ドスの効いた脅しに、またしても生徒たちは震え上がった。

 しかしイリスだけは、豚さん騎士(ナイト)にちょっとだけ興味が湧いた。


「だが手加減はしない。殺すつもりで行く。

 ついてこれないやつは、そのまま死ね。

 自信がないやつは、今日中に荷物をまとめて帰れ。以上だ」


 そう言うと、レナードは壇上から降りていった。


「…」


 生徒たちは、一気にこの先の生活が不安になり、言葉を失っていた。


「ああ、それとな」


 レナードが突然戻ってくる。

 生徒たちはビクッとなった。


「これから先、学校内で許可なく武器を使用することを禁止する。

 今朝みたいな調子で、学校の備品まで壊されたりしたらたまらんからな」


 レナードは、それだけ言うとまた下に降りていった。

 生徒たちはホッと胸をなでおろす。


「今朝…?何かあったんでしょうか…」


「いや、あれお嬢に言ってんですよ」


 真面目な顔で言うイリスに、マルコはツッコミを入れた。


どうでもいい補足ですが、今回マルコしか喋っていないのは、

男子と女子2列で、身長が低い順番で並んでいるからです。


マルコとイリスは、背が高く、体型も大人に近いので後ろに並んでいますが、ナナは背が低いので、前の方に並んでいます。

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