負けた国の小さな戦争
自己満足物なので、感想は閉じます
戦争が導くのはなんだ?
希望か? 絶望か? それとも……。
そんなくだらない事を考えた男……の後ろには、荒れ果てた茶色の大地にある小さな国があった、そこはつい昨日まで近く大国に喧嘩を売った大馬鹿。
国の命運やら、俺達の技術力は最高だなんて言葉を使って戦った結果……敗北した。
男にとって国がどうなろうと知ったことじゃない、そこにいるたった1人の幼馴染を守りたいだけだ。
温度によって茶色の大地が歪んで見える程の太陽の光は、奥に見える砂煙までは消せていなかった。
男の乗っている物は、地面と同じ色の機械だった……人の様に2手2足、頭や目まで細かい作りになっている。
黒髪が整っていない髪型で上半身裸の男の両手足は肘や膝まですっぽりハマっていて、リンクするように機体が動いている。
「あの国にはもう戦力なんてない、残っているのは無力な人だけだ」
皮肉なものだ、と男は呟き……こんなにも人の無駄死にをさせておいて当の王様は亡国、連れて行ったのは裕福層のお金デブばかりで残った国民は何も知らず、生活しているのだと笑う。
茶色の機体を動かして奥からやってくる、大量の砂埃を上げて数10は超える機械がその国に向かってくるのを見た。
国は機体に埋め込まれている機械によって、その機体が動けなくなるまで黒い防壁が消える事はない。
「またあいつに馬鹿と言われそうだな……」
右手に持っている人の数倍はあるような大きな剣を肩に担ぐ。
味方なんていたらどんな言葉を交わすんだろうな……いないのを嘆いたってしょうがないか、と男は再度笑う。
砂埃はやがて男がいる少し遠い場所に止まって、後ろでは赤がメインで狼の様な模様を書かれた国旗を掲げていた。
「俺が何かを変えられるなんて思っちゃいない、無駄死にした奴と一緒だ」
距離はかなりあるが、それでも敵は武器を構えるだけで何も仕掛けてこない。
男はそれを、大方1機しか無いのをあざ笑っているのだろうと思った。
敵機が1体動き出す時、それに同じように男も機体の背中に付いている羽の様なブースターを起動させて動き出した。
その頃亡国では、敵が来たと慌てるだけ人の波に紛れて1人の女性が息を切らしてまで何かを探していた。
周りの人はそれどころじゃないという風に女性に体をぶつけても、気にする様子もない。
女性はぶつかる度に頭を下げて謝り、長い茶髪が腰まで見える……その後は走って人の波を見つけては立ち止まって何かを探していた。
「カルト……どこ行ったの? 何時も迷子になるんだから」
女性はカルトという人を探していた、その人は何時も迷子になるという。
人探しのためか手には人の写真を持っていて……その姿は黒髪で整っていないボサボサとした男が写っていた。
溜息混じりに言った女性はこの男が今戦場に立っている事を知らない。
「すみません、この人見ませんでしたか?」
「うるせぇ! それどころじゃないだろ! 早く逃げないと……」
女性が声をかけても自分の事で精一杯なのか、男は声を荒げてはブツブツと言いながら去っていく。
もしかして、と言って女性は奥に見える工場の様な場所を見つめて走り出した。
今度は周りにぶつかろうと気にせずただ1点、そこに向かう事だけを考えているようだった。
動き出した戦場はたった1機によって動揺していた。
最初の1機は男と同じ様な機体に関わらず、胴体から上が無くなって倒れていた。
男はそれを気にも止めず機体の群れへと走り出していた……それを見る兵士は驚く様に口を開いた。
「あの国にもう戦力は無いんじゃなかったのかよ!」
『奴の情報は無い、ただの残党兵だと思われる……気にせずやれ』
「でもよ!」
兵士は無線でやり取りをしている、その時感知するレーダーの様な音が響き前を見ると男の機体が迫ってきていた。
手に持っている斧を振り下ろそうとするが時遅く、空振りと共に胴体を剣で両断。
周りの兵士もそれを見て一瞬動揺するものの男に向かって2機、3機と走り出した。
男はそれを羽のブーストを自在に傾けて一気に右へスライド……地面を滑るように足を使って方向転換させる。
その速度は彼ら兵士より倍に近い速度で動いて、兵士が探して見つけるよりも早く……右側近くにいる1機の目の前に到達。
剣の持っていない手で頭を掴んで引きずる様に、そのまま近くにいるもう1機にぶつける。
「なんなんだよ! こいつは!」
『新型かもしれん、追加の部隊を送る、持ちこたえろ』
「楽な仕事だと思ったのによ!」
そんなやりとりをする兵士は、男の方を見たつもりだった……目の前にいた2機はまとめて両断され倒れ込む瞬間で。
男の姿を一瞬にして探す時にはもう目の前に来ていて、両断された。
動揺が広がり部隊が怯んでいる時、他と違う緑色の機体が速度を上げて男に突進する。
「貴様は何故こんな……こんな無意味な戦いをする!」
「無意味? 無意味か、あいつも同じ様な事を言うなだろうな……」
緑色の機体の声は女性だった、その声は男に話しかけた……しかし、茶色の男の機体は答えるのではなく虚ろのような誰に対してでも無い言葉だった。
男にとってこの戦い事態はどうでも良かった、そこにあるのは幼馴染であるあいつの事だけだと……それ以外の事は死のうがどうでも良かった。
緑色の機体が左に持った細身の剣を振いながら、攻撃を仕掛ける……それをこともなげに男はバックやスライドを駆使して避ける。
「ハメラ隊長、今加勢します!」
「来るな! こいつに近づいたら!」
ハメラと言われた緑色の機体は、加勢に入ろうとした兵士を止める様叫ぶが……兵士が近づこうとした時、男はブーストを掛けて近づいた5機の方に行く。
5機は小さな斧で攻撃を順々と仕掛けるが、男は簡単に避けて1機ずつ胴体を斬り裂いていく。
ハメラは止めようと男に剣で攻撃をしようとするが、大剣に簡単に受け止められてしまう。
『ハメラ隊長、バラドムの準備が整った、範囲外に退避せよ』
「なっ!? まさか、たった1機の為にその部隊を使うおつもりですか!」
『技術部からこの機体は危険だと判断された、繰り返す……範囲外に退避せよ』
ハメラという女性は無線を通じて全兵士に告げる……兵士は多少動揺をしている様だが、従い撤退していく。
男は撤退する部隊に何も仕掛けない、来なければ何もしないという様に。
ハメラは範囲外に撤退していく途中、何度も男の方を見ていた。
男は何があったのかと思っていた。
ただこの先に何か不気味な事が起こりそうな予感だけはあるという風に、待っていた。
その時、上空から何か音が聞こえてくる……。
全話一気更新となります。