流れ星 第2章
~沼とカエルとワニさんと~
太陽の女神様と話が終わり、リスさんと小鳥さんに別れを告げて今は沼に向かう途中。
あの石の欠片は斜めかけカバンの中に大切にしまっておきます。
「ここの森動物さんいっぱいだなぁ♪」
自然豊かなこの森には、狼に鹿に猪に大きなワシ。
それに羽根が輝く鳥などユニコーンと呼ばれる空想の生き物など、せっちゃんが好きな動物がいっぱい。
リンゴやブドウ、イチゴにメロン、スイカに桃に、果物がなる木があります。
お花の蜜をすえば、砂糖のように甘く、夢の森でした。
もちろん寄り道しました。
一口サイズのリンゴを…かぷり。
ブドウとイチゴを1粒ずつ順番にほうり込み、手でも剥けるメロンとスイカを切り株に座り味わったり。
ご機嫌に歌を歌いながら歩みを進めていきます。
「わぁ、これが沼かぁ~。どろどろ粘土みたいー。」
「えっと、たしか橋があるんだよね?」
しかし、沼を見渡す限り反対岸に渡れるような橋は見当たりません。
どうしよう~これじゃぁ渡れない…。歩いて進むのはやだなぁ…。
泥んこ遊びは好きだけど、あれはお家に帰ればお母さんが風呂にすぐ入れてくれるからだし…。う~…。
少し涙目になるせっちゃん。
「おい、お前なにしてんだ?」
「…。なにしてんだ?」
「してんんだ~♪」
どこからか三つ声が重なりとどきました。
「誰かいるの?どこ?」
少し怖くなり後ろに後ずさる。
「ここだよここ」
「…。目の前の下」
「みてみてみて~♪」
言われて視線を落とすと、そこには小さなカエル?赤、青、黄の信号機カラーの三匹が居ました。
「今お前失礼な事考えたろ?」
「…。失礼な事考えたろ?」
「考えたろ~♪」
上から順に赤、青、黄カラーとなっております。
「んと、ブルとイエは少し黙ってくれ。」
「…。」
「黙ってくれ~♪」ゴンっ
赤カエルが黄色のカエルに頭突きした。カエルの頭突きってみたことないや。いや、今みたけど…。せっちゃんにとっても中々のインパクトある光景だった。カエルの頭突き…。
「イエ、うるさい。」
赤色カエルがリーダーさんなのかな?
んと、静かにしてたのがブルさんで、真似っこしてたのがイエさん。
「ねぇねぇ赤色のカエルさん。私はせっちゃんって言うの。」
「赤色のカエルさんのお名前教えて?」
せっちゃんは小さく屈みカエルさんに話しかける。
「俺はレド、青がブル、黄色のがイエだ。」
「…。ブルだ。よろしく。あんたは何でここにいる?」
「僕イエ!よろしくね~♪せっちゃん遊ぼー♪」
「レドさん、ブルさん、イエさん。よろしくね♪」
「んと、お使いの途中でこの沼の先に行きたいんだけど…。」
橋がないことを思いだし、また少し気持ちが沈む。
「イエちゃん、今はお使いの途中だから…遊べないの…。」
「この先に渡りたいのか…。橋ならないぞ。」
「…。ワニと遊んでてぶっ壊したからな。」
「遊べないの……。ガーンΣ(´□`;)」
「そんな訳なんでまぁ諦めてくれ。お使いとやらは。」
「それはダメだよ~。めがみさまにお願いされたんだもん…。」
「お姉さんならお使いできるんだもん…。」
「…。女神様って言ったか?」
「うん。太陽のめがみさまにお願いされたんだもん。」
「…。そうか。少し待て。」
なにやらゴニョゴニョとレドとブルが話をしているが話は聞こえない。
「…。レド、太陽の女神だってよ…。」
「まじか~。タイミング悪いなぁ…。昨日あんなはしゃくから…。」
「…。まぁイエとワニの奴が主犯だがな」
「ワニ…。ワニか。そうだな。アイツが鬼やって、イエが橋の真ん中なんかに隠れるから。」
「…。大暴れで橋の真ん中から壊れていったな…。」
「てか、ワニが悪い。アイツ呼んで何とかしてもらうか。」
「おい、せっちゃんよ。ワニ呼んでくっから、イエと遊んでてくれ。」
「…。よろしく。」
「ワニ?ワニさんなら橋なおせるの?」
「なおせはしないが、せっちゃん乗っけて渡るくらいならできんだろ。」
「…。そのバカがいると遅くなるから。」
「なんでよろしく。まぁすぐ戻るから。」
「んと、イエちゃんと遊んであげればワニさんに乗せてくれるんだね?」
「そっす」
「まぁせっちゃんはお姉さんなので、イエちゃんと遊んであげます。」
「…。かくれんぼ系はやめてくれ。」
イエちゃんはかくれんぼが大好き。平気で2、3日姿をくらましては、レド、ブルから頭突きを受けているとのこと。
イエちゃんたくましいな。
「じゃ、ちと待ってて。」
「イエちゃん♪ワニさん来るまでなら遊べるよ?」
ショックから立ち直れないイエちゃんに話しかける。
「ほんとに………。遊べるの…?」
「うん。ワニさん来るまでならせっちゃん遊べるよ?」
「かくれんぼ…。」
さっそく禁止された遊びを選びましたね。
「イエちゃんイエちゃん。謎なぞしよっか?」
「謎なぞ…?」
「うん。例えば、ちっちゃくて、黄色で、かくれんぼが好きなのはだーれだ♪」
「おい、ワニいるか。ちと、太陽の女神様のお使いがきて、橋なくなったせいでできないとさ。」
「…。女神様怒らせたら沼干からびるからな。」
「くぁー。気持ちよく昼寝していたと言うに…。」
「あぁー太陽の女神様から、困ってる子来たら助けてやれって頼まれてるんだわ。」
「沼渡ればいいだけならサクッとすますべ。」
「話が早くて助かる。」
「イエボーは居ないんか?」
「アイツいると余計なトラブルふえるから。」
「…。留守番。」
「ほうか。用事済ませたら沼で、遊ぶか?」
「そうだな。」
「さっちゃんワニつれてきたぞ」
「ども、橋壊しちゃったワニっすね。」
「始めましてワニさん。せっちゃんです♪」
「ワニさんのお名前はワニさんなの?」
「おう、ワニが名前だ。シンプルだろ。」
「話はカエルと女神様からも聞いてっから運んでやるよ。」
「あっ、ありがとうございます!その…。」
「ん?どうしたよ?」
「……重たくないかなって//」
「はっはっはっ。嬢ちゃん可愛いな。安心しな沈みやしないよ。」
「あっはい、それなら//」
「せっちゃんよ、あんまり考えたくないんだが、イエはどうしたよ?」
「あぅ…。」
「…。レド、アイツ一週間遊びを禁止にするぞ。」
「だな…。」
イエは謎なぞをしていたのですが、かくれんぼがしたくてしたくてたまらず、一回だけの約束と、ワニさんが来たらちゃんと戻る約束のうえ始めたのですが。
いなくなっちゃいましたね。
「さっ、嬢ちゃん行くぞ。」
「あっうん。レドさん、ブルさん、ありがとう!!」
「お使い終わったら遊ぼーね♪イエちゃん見つけられなくてごめんなさい!!」
お姉さんは失敗したときはちゃんと謝るべし。せっちゃんの掟の1つにあるようだ。
「そいじゃ落ちるなよ?」
ワニのワニさんがせっちゃんを乗せて沼を渡ることができました。
ワニさんは沼の事にはすごく詳しくて、綺麗な花や、ケガによくきくお薬になる草、元気になるドングリなど教えてくれました。
沼を渡る途中何かの役にたつかもしれないと、薬草と、元気になるドングリをくれました。
「ホレ嬢ちゃん着いたぞ。そうだ。嬢ちゃんにこれも渡しとくな。」
ワニさんが新しくくれたのは布みたいな千切れない葉っぱをくれました。
草笛ってわかるかと聞かれ、わかると答えると、沼を渡りたいときに吹けば来てくれるという。
「ワニさんありがとう。お使いあと少し頑張るね♪」
「おう、ケガすんなよ。」
そういうとワニさんは沼に帰っていきました。
果物の森はとても素敵な場所で、沼の橋はなかったけれど、カエルさんとワニさんとお友達になることができました。
カエルさんはイエちゃんは遊ぶの大好き。
最後かくれんぼでまたねってできなかったのが寂しいな。
でもお使い終わったら遊べるもんね♪
ワニさんは物知りで薬草と、元気になるドングリと、ワニさん呼べる草笛までもらっちゃった!
またお母さんにいっぱいお話することできちゃった♪
あとはハートのスタンプもらってくるんだよね?大丈夫かなぁ。ちょっと不安になるせっちゃん。