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時刻は午後4時を少し回ったあたりだ。
早朝6時から出発し、遠路はるばるやって来たという感じで故郷の町の遠さが身に染みる。
ここで立ち止まっていても埒が明かないことはわかっているのだが、やはり少し疲れた。
殊葉は気を取り直し、再び歩き始める。
母の事前説明によれば、地下街を超え南町に出れば目的の場所は15分足らずで行けるという。あともう少し。
「確か、南町方面」
頭上を見上げると天上に埋め込まれている電光掲示板に「南町方面」と浮かび上がる緑色の文字がある。
確認をし、殊葉はその道のどんつきまでまばらな人の流れと共に、歩を進めた。