プロローグ
天才が言った。
「日本を変えてやろう。」
凡人は答えた。
「どうやって。」
「科学で。」
と天才は即答した。
「だが与えるだけではつまらない。つかみとってみろ」
という言葉と同時に僕の意識は落ちた。
柔らかな風に揺られる草が僕の鼻をくすぐり目が覚めそうになる。なんで僕は外で寝ているんだろう。という疑問を感じつつ、もう少し寝ようと寝返りをうち落ち着ける姿勢を探す。寝起きは悪いほうだ。
なななななななんだこれは!このよくわからない状況でもしっかり二度寝を決めようとしていた僕に衝撃が走った。ほわんという擬音はこの場合に使うんですよと言わんばかりの柔らかい物体が僕の腕に乗っている。これはおで始まりいで終わる男性なら大好きな物体なのでは!と心躍る十八歳童貞。
目を開けることでこの夢の様な状態が終わったら絶対一生後悔する!と必死で寝たふりをする僕。すると腕が徐々に熱を帯びてきた気がする。緊張で熱くなってるのか、きっと顔も真っ赤だろうな。なんせ触ったのなんて初めてだし。
「って熱い熱い熱い熱い熱い」
ああ至福の時間が終わってしまった。僕は反射で腕に乗っていたものを飛ばしながら飛び上がった。さっきまで女性だと思っていた僕飛ばした物体の姿を探す。腕に乗っかったまましばらく放っていたら徐々に暖かくなり、あるところから急に高熱になったのだ。
よく考えるとここはどこだなぜこんなとこで寝ていたのかとか考えてしまうがそれより先に僕の純情を弄んだアイツを探さなければ。
少し回りを見渡したが何もない。普通の草原だ。と思っていたところ草を掻き分けて歩く様な音と同時に飛び跳ねる青色をした液体の塊のようなものが。まさかゲームに出てくる雑魚のようなものが現実に出たのか!?気持ち悪さとパニックで僕はそれを踏みつぶした。
軽快な電子音と共に半透明の”EXP+25”という文字。きっと回りから見たら僕は信じられない様な者を見た顔をしているだろう。実際にそうなんだもん。ゲーム?中に入った?なんで?と寝起きの頭で考えているところに。
「チュートリアル終了です。お疲れ様でした。皆さん混乱されていると思いますので、これから説明させていただきます。」
という女性の声がドコからとも無く聞こえてくる。「面白い夢だな」僕はそう思った。