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日本書紀本文神話を愉しむ  作者: 村咲 春帆
正史篇
9/19

『続日本後紀』

続日本後紀(しょくにほんこうき)藤原良房(ふじわらのよしふさ)春澄善縄(はるすみのよしただ)ら』


 貞観一一年(八六九)年八月九日(平安時代・清和天皇の頃)成立。


 藤原良房(ふじわらのよしふさ)らが文徳天皇(仁明天皇第一皇子)に命じられて編纂が開始された勅撰史書。六国史の第四にあたる。全二十巻。漢文表記の編年体で、仁明天皇の時代十八年間のみを扱う。


 命じた文徳天皇を含めれば関係者六名のうち四名が脱落(崩御一、逝去一、失脚一、転任一。しかも補充なし)という過酷な状況ながら、時の権力者として編集方針が決められる藤原良房と当代随一の文筆家として最高の文章が書ける春澄善縄(はるすみのよしただ)という最強タッグにより、どうにか完成までこぎつけた。

 さすがに『日本後紀』ほどではないにしても、本文にはやはり誤脱や錯簡、省略などが見られる。一部は原典主義の六国史の分類書『類聚国史(るいじゅこくし)菅原道真(すがわらのみちざね)編』によって補われている。



 ファラオの呪い張りの勢いで関係者が脱落していった『続日本後紀』。

 ギリギリ庶民ではないという程度の最下層から文才一つで公卿まで登りつめた叩き上げ系最強の男・春澄善縄(はるすみのよしただ)の単著と言っても過言ではない、実録色の強い四代目『続日本後紀』。

『続日本紀』 からの伝統(?)を受け継ぎ、日本史の研究史料を集成するのが目的の『国史大系』以外の全集、日本の古典「文学」を対象とした全集には案の定お呼びではない『続日本後紀』ですが、天皇親政から摂関政治への過渡期を取り扱っていることを鑑みれば、意外に読み物としても楽しめるのかも知れません。



 さて。

『続日本後紀』の中で『日本書紀』絡みの記事といえば、勿論「日本紀講筵(にほんぎこうえん)」に関する記述のみ。読み始めの「承和十年(八四三年)六月一日(巻十三)」の条(仁明天皇の御代)と、読み終わりの「承和十一年(八四四年)六月十五日(巻十四)」の条(仁明天皇の御代)です。


・読み始め

 (承和十年)六月一日。古事を知る者で散位(≒無職)で正六位上(六位の上の上)の菅野高年すがののたかとしに、内史局(=図書寮≒国立図書館)にて、始めて『日本紀』を読ませた。

「(承和十年)六月戊午朔。令知古事者散位正六位上菅野朝臣高年。於内史局。始讀日本紀。」


・読み終わり

 (承和十一年六月)十五日。日本紀を読み終えた。

「(承和十一年六月)丁夘。日本紀讀畢。」



 貴族社会における最強の成り上がり・春澄善縄(はるすみのよしただ)について、もっと取り上げられるようになると面白いと思うんですが、難しいですかねえ。

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