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 今日はお爺ちゃんと野宿の日だ。


「洋にお前さん用の小剣も用意しておいたんじゃがな。貴之が余計な事いうせいでお預けじゃ」


 そんな物準備してたんだ。子どもでもわかる、剣はアウト。

「何をいう。おいそれと捨てれる物じゃないし、貴之は持ってるはずだぞ?」

 お父さんって常識人じゃなかったのか……


 まずはお爺ちゃんから荷物を説明を受けた。

 まず手渡されたのは刃渡り10センチいかないナイフ。これは獲物の解体やロープを切ったり、食材を切り分けるのに使う物らしい。戦う為の刃物ではないが、ある意味それ以上に大切で使用頻度の高い物だ。


「刃物を扱う心構えは散々教えたから今更言わんぞ。しっかり考えて持つように」


 ホームセンターの防災コーナーに売っているような道具一式にヒートテックの肌着とゴミ袋とよくわからないプラスチックの筒を渡された。ちょっと心配だったけど、1日分の教科書よりも断然軽そうだったので良かった。大人の人が担げるような荷物だったらとてもじゃないけど小学生には持ち上げれっこない。


「今回は1泊だから服は持っていかない。

 寒くなったら下にヒートテックをきて、それでも耐えられなかったらビニール袋の尻を破って頭から被るんじゃ。そうすれば風が入らなくなるから断然暖かくなるぞ」

 食料で持たされたのはカロリーメイドやドライフルーツと250mlのペットボトル3本。

 夕飯の事を考えるとはやくも初野宿の喜びよりもひもじさが沸いて尻込みしてしまうのはしょうがないと思うんだ。

「お爺ちゃん、今日の夕食はこれだけ?」

「それは万が一儂とはぐれてしまった時の為の保存食だよ。食材はワシが持ってるから安心せい、今回は車から降りて1時間程度でたどり着ける山にある婆さんの墓が目的地じゃ。近くに沢もあるから川魚も釣れるぞ」




 僕の顔から一瞬で機嫌を直したのがわかったのか、お爺ちゃんは一つ笑顔を見せるとクルマに乗り込んだ。


「ねぇお爺ちゃん。お爺ちゃんはお父さんとなんで仲が悪いの?」

 僕達を乗せた車は市街地を抜け、国道を走っている。しばらくは学校であった事とか話していたんだけど、思い切って大人の事情に切り込んでみることにした。


「ん? 仲が悪い訳じゃないと思うぞ。ただ昔ちょっとあってな。

 アイツが中学生の頃か。大型犬を飼うのが世間のブームになってた時代があったんじゃ。その流行りに乗って飼い主が禄に躾をしてなかったんだろうな、犬が登校しようと家を出た瞬間の貴之に噛み付いてきよった。

 貴之の左足を噛んで転ばし、そのまま首に噛み付いた所で儂が追い付き、その大型犬の口元から指を突っ込んで口を開けさせて右膝で体重を掛けて犬の首をヘし折った。

 儂は今でも悔いてもおらんし家族に危害を加えてきたんじゃから当然の対応じゃったと思うのじゃが、飼い主は怒り狂っての。犬の購入金額がどうとかで損害賠償請求が届いたり裁判沙汰になる所だった。

 最終的には目撃者がいて貴之の首に噛み痕があったので向こうも引き下がったがそこで終わらなかった」


 そこから「何も殺す必要なんて無かった」とか「命を軽んじてる」とか電話や手紙が毎日届くようになって、お父さんも学校で大分酷い事を言われたらしい。まともに説明しても埒が明かず引っ越しする事にもなったしお父さんはそれ以降冒険者になろうとは言わなくなった。


「お父さんも冒険者になろうとしてたの?」

「ああ丁度洋と同じぐらいの歳から言い出してたな。儂は家族が襲われている場に出来わした時に、わざわざ警察に電話したり襲ってきた相手の体の事を考えるって文化で生きてこなかった。それ以来何だか恐くなってしまってな。幸いお金はあったので必要最小限の付き合いの中で生きていく事にしたんじゃ」


「そういえばお爺ちゃんはお仕事は何していたの?」

「いわゆる知識チートってやつじゃな。企業秘密じゃ」

 そういってお爺ちゃんは盛大に笑った。笑いすぎてせき込み始めた。せき込んだ弾みでハンドルはブレた。危ないからやめて欲しい。


「ようするに冒険者なんてもんは生きていくのに必要ないもんじゃ。森に入らんでもスーパーいけば食材は手に入るし強盗が現れたって剣使ったらこちらが先に御用。それが皆が安全で安心して生きていける世の中じゃ。洋には冒険者の知識は教えてやれるが知識をどう活かすかは自分で考えて答えを出すといい」


 お爺ちゃんが巧くまとめたっぽい事を言うと車を止める。

 正面に見えるのが今日泊まる山みたい。




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