竜巻
1 竜巻
ひゅー
ガタガタガタ
「おかーさーん、窓、閉めとくねー」
「うん、ありがと。あ、ついでに雨戸もお願いね。今日、なんか嵐みたいだから」
ここ10年で、ずいぶんと異常気象が増えた。気温もだいぶ変化して、日本もついに亜熱帯地域になるのではと噂されている。
ガラッ
明日学校あるのだろうか。そんな事を考えながら雨戸を閉めた。
『竜巻警報が発令されました。くれぐれも外に出ないようにお願いします』
警報の出方もずいぶん変わった。前みたいにテレビで確認するのではない。
「竜巻警報だって。今日買い物行けないね」
「そうね。お父さん今夜も会社に泊まりなのね……」
警報が発令されると、会社員は会社に泊まるというルールになっている。
ひゅーーーーん
ガタガタガタガタガタ
家が揺れてる。地震でもきたんじゃないかって思うくらい大きく。
「竜巻、来たんじゃない?」
ガッシャーン
食器棚から皿が落ちた。
こんな時は机の下に隠れて……。
グラグラグラグラ
もう地震って感じでもなくなってきた。
台所の小さな窓から風の渦が見えた。この家は竜巻に巻き込まれているのだ。オズの魔法使いの家のように。
ーーーーそこで私は気を失った。