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竜姫  作者: 月下部 桜馬
2章 白龍の娘
28/33

27.

 突然やけど…『海松茶』と書いて『みるちゃ』て読む可愛らしい名前の色をみんなはご存知やろか?



 『みるちゃ』……まるでミルククラウンを想像させる名前の響き。



 せやけど調べてみると……和名ってびっくり暗緑色をした茶色の代物である。偶然ネットで知って余りのインパクトに忘れられへんかってんけど…まさかこんなところで役に立つとは…


 なんで突然こんな話をしたかというとやね。



 魔物に見えなくもあらへん…というか魔物にしか見えへん、でーんと存在してる『海松茶・・・』色の物体αが目の前にある。物体αは何か答えよ。


 「………」


 物体α答え…この物体はあたしの魔力の塊、らしい。

 …期待なんかしてへんかったけどさ、『龍』と『竜姫・・』とかご立派な名前がある人の血筋やったらさ……なんていうの?こう…もっと神々しい物を想像してたっていうかさ……気持ち悪い土塊が出てくるなんて思わんやん?


 “鈴木さん”の話によると、生まれて初めて放出された魔力っちゅうのはそれまでに体に蓄積されてた魔力が一気に凝縮されて具現化されるらしくて……んで、その具現化された魔力は消えへんで自分の眷属になるらしいねんけど…


 ちなみに“鈴木さん”が見せてくれた魔力の塊は水が丸く浮いてるような澄んだ青色やったし、ファンタジーのお手本みたいにちゃんと手の上で浮いとった。


 …土にめり込んでるあたしの魔力って一体。


 「み、雅様……素晴らしい質量です。凝縮された魔力量が多過ぎて浮く事が出来ないなど…初めて見ました」

 「………」

 「しかもこの色合い、全ての属性が多量に混じり合い…ぶき…不思議な色ですね」


 今…不気味って言おうとしたやんな?ええねんで…ほんまの事やしな…ふふっ。まぁ生まれてもうたもんは仕方ないやん…………あきらめよう。


 「……で、これ、どうすんの?」

 「あ…あのですね、形状を整えてから…術を施すと、自我が生まれ行動するようになります」


 …この不気味な物体αに自我………どう考えても魔王の手先やろう。しかも色合いで最弱よりちょっと強いぐらいのやつ。


 「……これってやり直しは」

 「次に魔力の放出をしても具現化出来るほどの魔力は……」

 「…じゃあ、いらないとか…」

 「ですがこの魔力の塊が暴発すれば…少なくとも大陸一つは無くなるかと…」


 …どんな爆弾やねん!


 「…セイイッパイカワイイスガタニシテミマス」

 「では、術式は形が出来た後で良いですね」

 「了解です。……ところで“鈴木さん”の眷属さんはどんなんなん?」


 なんでかちょっと困った顔して“鈴木さん”は自分の魔力の塊からあっというまに1リットルの水筒サイズの人形を作り出した


 「……このような単純な形の眷属なのですが」

 「!?」


 丸と四角と線で構成されたそれは、後はマントを付けるだけの……どうみてもパンのヒーローで……

 しかも礼儀正しく笑顔でお辞儀されると…ぬいぐるみが動いてるみたいでカワイイ


 「うわぁ……」

 「……すみません。お恥ずかしながら造詣に深くないものですから…」

 「いや、グッジョブやで“鈴木さん”。まさかこの世界でこのヒーローに会えるとは思わへんかったわ」


 とりあえず親指立てて“鈴木さん”に感動を伝えておく。


 「?」

 「せやけど、そんなクオリティの高いもん見せられたら…あたしも頑張らなあかんやん…。丸と四角と線だけでこれだけ再現出来るとは……“鈴木さん”恐るべしやで」

 「はぁ……褒められてるんでしょうか……?」

 「もちろんやんっ!!あぁ…あたしは何にしようか…」


 …こう見えても、色々元の世界のアニメとか、マンガは知ってんねん。色はもうどうしようもないけど、せめて形はカワイイのにしたりたいやん…。


 「やっぱ……お供と言えば、妖精やんな」


 あの人間に羽根が生えたちっこいのが肩にのっとる姿は、ファンタジーのど定番で憧れやん!やっぱあれやろ!


 「これってそのまま形作ったらええの?」

 「はい。陶器を作る時の土を捏ねるように作って頂けたらよいかと」


 よっしゃ〜!!やったるで〜!!


 まずは頭を作って…丸めて丸めて…目を描いて、鼻は別でつけるやろ。ほんで口はちっちゃくちょい笑て、まゆ毛と髪の毛を描いたら………


 「……あれ?」


 うん?おかしいな……なんで呪いの人形みたいになってんのやろ?目をおっきしたらあかんかったんか?……ほんなら小さしたら……いや…目の問題ちゃうな…。いっそ全体を作ってみたらエエ感じになるかも


 「うん?」

 「…雅様、人型は彫刻家のような土を扱い慣れた者でなければ難しいかと…」

 「っぐ!?」


 …悲しいけど、ファンタジーの夢は諦めるしかないみたいや。


 「妖精が無理なんやったら……せめて動物の可愛さが欲しいわ」


 …昔、ゴマフアザラシのマンガあったよね。あのアザラシはキュートやった…。


 「…もふもふサイコー!路線に計画変更やっ!!」





 …バットが出来上がりました。


 「なんでなんやっ!!こうなったらド定番のあの青いスライムやっ!」


 


 毒がある平べったいの出来上がりました


 「うぉぉぉぉ〜」

 「み、雅様大丈夫ですか?」




 そういえば…あたし美術の成績10段階の1(しかもかなりおまけで)やったなぁ…ある意味天才とか言われて、美術を選択したん学校の七不思議とか言われとったもんな……



 ……泣いていいやろか?

普通のレベルでも彫刻って難しいと思います。

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