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竜姫  作者: 月下部 桜馬
1章 白龍の眠り
22/33

22.

いてて…と起き上がる所をみると仕留め損ねたみたいや。ちっ、人類の敵を葬る事は出来へんかった。


「お前、実の親に向かって鉄拳振りかざすって…そういうところほんとアリシアそっくりだな!」


クスクス笑う男。殴られて嬉しそうにしてるような痛い奴は知り合いにおらんし、あたしはMでもSでもない…


「教育的指導や、当然やろ」


 それよりも聞き捨てならん言葉が聞こえたで?


 「今何て言うた?」

 「あぁ?アリシアそっくりに育ったって言ったんだよ…」


  …アリシアって誰やねん?しかも誰が誰の親?


 「質の悪い冗談やめてくれへん?あたしの両親はもう死んでるけど…」


 あれ?あたしの両親の名前…………アリシア・レイフォールディアとグリアス・ラスティ・レイフォールディア




 …あれ?おかしいで?



 いやいや……ちゃうねん。ちょっと前まで両親の名前日本語やったし!!こんなわけわからん外国人の名前ちゃうかったし!!

 せやけど、いくら考えてもアリシアとグリアスとか言う名前しか出てこえへん。



 「あ~お前にかけてた術は俺に会った事で解けてるからな」

 「……じゅつ?」

 「偽両親の記憶、とでも言えばいいか?」


 ガラガラと音をたてて崩れてくあたしのアイデンティティ帰っておいで…ってこのおっさん何言うてんの?

 しかもいつの間にかどっからか出てきたん?ていうような真っ白で豪華なテーブルセットに座ってお茶しとるし……もぅ何から突っ込んだらええんや。


 「う…嘘や」

 「確か…自動車事故で玉突きの真ん中で死んじまったってやつだったか?…あんま詳しい事は覚えてないな」


 どうやらあたしの今まで信じとった記憶はこの男に適当に作られたものやったらしい


 「まぁ取りあえず座れば?」

 

 ソファを勧められとる。…一日の最後の仕上げとばかりにやってきたこのおっさんに疲れが三倍増しでやってきたから…もぅどうにでもなれ精神でドカッと座ったった。


 「いや〜悪かったなぁ」


 …軽い、軽過ぎるで、この男。ソファの背もたれに肘を乗せながら言う事とちゃうしな。


 「……あんたグリアス?」

 「おぃおぃ、いきなり親を呼び捨てかよ」


 …とりあえず今は親とかどうでもええねん。第三者視点で事実確認せんと確実にパニックに陥る事体になっとる


 「で…母親がアリシア?」

 「あぁ。思い出したか?」


 ……記憶が頭の中に膨大に溢れ出てきた。


 母親であるアリシアと二人で暮らしとった記憶。柔らかな笑顔が印象的な優しい人やったけど、道理に外れた事したらめっさ呵られて…



 アリシア母さんは…ちゃんとあたしの母親やった。


 「……忘れてたとかありえへんわ」

 「ま、それは諸事情で仕方なかったしな」


 悲壮感漂ってるあたしがアホらしいほど声が明るい。しかし…母親の事は思い出したけど、やっぱこの男の記憶は隣人の記憶しかあらへんねんけど?



 …ま、諸事情があんねんな。


 「ところで諸事情ってなんなん?」

 「とりあえず、落ち着いて茶でも飲めば」


 嫌がらせなんか?…テーブルにあんのは白龍の飲んでるカップだけやねんけど?


 「…お茶出してや」

 「何でも想像してみろ。そしたらでてくっから」

 「なんやねん、それ」


 喉渇いてるし、言われたとおりアイスコーヒーを想像したら、ほんまに目の前のテーブルにすぐに出て来た

 

 「無駄にファンタジーやな」


 久々に飲むアイスコーヒーは向こうで馴染みやったカフェの味がしてちょっと泣ける。そんな感動に浸ってる所に白龍が話しかけてきた。うん、やっぱ父親とか呼ばれへんし、しばらくは白龍扱いで…


 「ところで、こっちの世界の事どれぐらい学んだ?」


 こっちの世界にきて学んだ事って…


 「…竜舎の掃除」

 「………」

 

 めっさ目を見開いてこっち見とるけど…何や!なんか文句あんのか。生活すんのに必要やってんからしゃあなかったし!!


 「……」

 「……」


 無言のにらみ合い。ま、負けへんで!


 「………ぶはっ!だ、ダメだ。耐えらんねぇぇぇ!」

 

 目の前で「何だよ!竜舎の掃除って!」とヒィヒィ笑い転げる白龍。





 …とりあえずあたしの想像力の全てを使て大型ハリセンを用意せなあかんみたいや。

チャラ男、パパンでした(笑)

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