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竜姫  作者: 月下部 桜馬
1章 白龍の眠り
14/33

14.


 ほんま…360度砂砂砂…。元の世界でも某砂丘を修学旅行でちょっと体験した事しかあらへんし、砂漠ってこんなんか…って思たけど…

 

 「全然ちゃうわ~!!!」


 元の世界でも砂漠っちゅうもんがどんなもんかわからへんねんけど、いやぁ…ほんまに丘と漠はちゃうね。


 「白いわ~」


 砂漠ってもっと土色してると思たけど、この世界特有のもんなんか砂が白いねん。おかげで日の反射がバンバンやで…一応あったかい国に行く予定やったからコロコロに日傘入れとって良かったわ~。


 「………せやけど下から反射したら意味無いやぁ~ん」


 コロコロも砂にめりこんで全然コロコロせぇへんし…ほんまあの美形くん…危機的状況やったんはそうなんかもしれんけど、もうちょっと飛ばすとこ考えてぇな。


 進むべき方向が全くわからへん。…日影も無いし、水も持ってるかいな!つまりは


 「…確実に死ぬて、これ」


 ここに飛ばされてから30分ぐらい経つなぁ~。コロコロを横にして座ってるねんけど、コロコロもあっつなってるし、かといって動く気になられへんわ。


 「お迎えとか贅沢言わへんから、せめて人とか通ってくれへんかなぁ」

 

 無理やろうな~、こんな砂漠のど真ん中に誰が来るっちゅうねん。


 「お待たせしました」


 えぇ!?

 突然後から声かけられたと思ったら、ちょっと美形くんが立っとった。


 「おぉ…なんや、あんたも来てくれたんかいな」


 てっきり自分一人でなんとかせなあかんのかと思たやん。…いや全然動かへんかってんけどさ…生きる努力はしよと思とったよ?


 「すみません。少し手こずりました」

 「…いや、別に」


 …うん。ここに飛ばされた当初は散々美形くんに文句言ったんやけど、ちょっとボロってなってもてる美形くんの姿見てもたら……


 「……?」

 「け、怪我とか大丈夫なん?」

 「怪我ですか?……あぁ、服装が乱れてますね」


 美形くんは自分の姿を確認してすぐに短くよぅわからん言葉を呟いた。


 「おぉぉぉ…」


 シンデレラの魔女もびっくりの服装チェンジやで!よれてた服があっというまに正装みたいなカッコになったわ。美形が正装て……威力すごいやん


 「お気遣いありがとうございます。ですがやつら程度に傷などありえませんので…」

 「そ…そうなんや…」


 でもさ…あの服装のボロっちさからはそんな余裕見えへんかったで?


 「ここでは…お体に負担になりましょう。宮にご案内して、そこで詳しくご説明いたします」

 「み…宮?」


 …そんなんどこにあるん?あっ!さっきつこた飛ばすやつか!

 ほんなら美形くんのどっか触ったらええねんな…。ほんなら二の腕をお借りして…


 「………」

 「ん?どしたん?ここあっついし、はよいこ!」

 「いえ…あの手が……」


 …え?


 「少し近いかと…失礼します」

 「…?」


 ど、どいうこと?

 「失礼します」って離された手をどうしてええんかわからんねんけど?とりあえずワキワキ動かしてみるけどさ…


 「こちらへ…」


 美形くんが指した先に突然現れたでっかい……扉




 「…ってか門?」




 ちゅうか、飛んでかへんのかぁ~~い!!!あたし、単なるお触りした変態やないかぁい!!



 …まぁでも役得役得。

 美形くんの二の腕の感触をじっくり……




 

 …あかんあかん、まだ変態街道爆走中やで自分。

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