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竜姫  作者: 月下部 桜馬
1章 白龍の眠り
13/33

13.

 青い髮の美青年。……腕組んだまま微動だにしませんけど?こっちの誰やねん質問もスルーなんやけど?


 「……追っ手がすぐ側まできてます」


 えぇ!?やっと喋った思たら追っ手て何?


 「荷物をまとめて下さい。ここは危険です」


 いやいや…あたしからしたら君の方が不審者で危険人物なんですけど?


 「レイジルも強制的に眠らされたようです…」

 「レイレイが!?」

 「えぇ…気配が途絶え、思考だけが繋がっていますので…」


 気配が途絶えって…まったく話が通じへんねんけど?


 「れ…レイレイは無事なん?」

 「レイジルは最後の語部ストーリーテーラーです。手にかけるような事は出来ません…眠らせるだけが限界でしょう」


 レイレイは無事そうなんは良かったんやけど…


 「あんたの言う追っ手とやらはほんまにあた…僕を狙ってんの?」

 「……まだ、相手も確証はつかんでないでしょうが、ここで貴方が捕われてしまっては…この世界は滅びの道を辿ります」


 いやいや…話がでかなってるよ!あたしが捕まったら世界が滅びるて、んなわけあらへんわっ!!


 「………」

 「……今はご納得頂ける程詳しく説明してる時間はありません。私はあなたを安全な場所まで送るよう…導かれました。どうかご用意を!」


 はいっ!またわけわからん言葉が出たで!


 「導かれる…て」

 「一刻も早く…レイジルも今はそれを望んでおります」


 美形に突然手を掴まれて、びっくりして飛び上がるかと思た。


 「なっ!なんや…」

 [雅ちゃん……]

 「レイレイ!?」

 [ごめん…今の僕じゃ君を守る事が出来ないんだ…]

 「……いや、そんなん謝られても」


 別にレイレイ、原因せいとちゃうし…っていうかこの美形と触れたらレイレイと話せるって……やっぱこの世界は不思議だらけや…


 [今はそこにいる****と一緒に行って]


 だ、大事な部分が聞き取られへんねんけど!!


 [……必ずまも…て…れ………]


 ボリュームを下げるようにレイレイの声が遠ざかってってまう。


 「レイレイ!!!」

 「思考も途絶えました………完全に深淵に落とされたようです」


 深淵って……めっちゃ深そうやん。そんなんで無事とかありえるん?

 せやけど……レイレイの焦りようからしても自分の事を心配せなあかんねんやろうなぁ。どうもこの世界て非現実すぎて、危険とか言われても感覚が麻痺してもうてるわ…。

 多分聞きとられへんかったけど、【なんとかさん】はこの美形なんやろう…うん、名前わからんし、【なんとかさん】とかややこしいからこのまま【美形くん】呼びでええわ。レイレイの言う通り、この人に着いてったらええんやろう。


 「……レイレイが言うたから、あんたについてくわ。ちょぉ待ってな」


 一応何があってもええようにこの世界に来た時の荷物はそのまんま部屋の隅っこに置いてある。この世界に来てからのもんなんてそないにあらへんし、あったとしても引き出しに入れてるもんなんてたいしたことない。大事なもんはコロコロ一つで移動オッケーや。

 

 「行けるで」って言おう思た瞬間に美形くんが立ち上がって扉に向かって右手を翳した。


 「なっ何なん!?」


 返事はないまま、美形くんの右手から青白い光が閃光として発せられる。


 “ドガァァァァン”


 「◯△×〜!!」


 すっすごい音して扉ふっとんだんやけど!?ってかマジで理解出来んことを突然とかやめて!!びびるから!!ほんまにびびったから!!ちょっとチビッたかもしれんから!

 「修理代はどっちもち!?」とか一瞬頭によぎったんは…愛嬌や。


 「雅様!!お早く!!」


 えぇぇぇ!!

 「パニック状態の時にそんなん言われてすぐ行動出来る人間なんておらんやろぉぉ」とか声にならへん余計な突っ込みを入れつつ、コロコロを手に自分では精一杯素早く美形くんの側に近寄ったんやけど…


 「ぎゃぁぁぁ!!」


 今度は扉から赤い光が飛んで来た。


 「死ぬぅぅぅ!?」


 何度も美形くんの右手から青い光が連発されてて綺麗ね…とか言うてる場合とちゃうわ!!!

 

 青い光と赤い光がぶつかって爆発?みたいなんが起きる。同時に花火みたいな音が部屋ん中に響き渡った


 「…っ!?」


 こんなに近くにおっても爆発による怪我とかはないけど……


 「おえ……」


 近距離の花火て、胃への攻撃力ハンパ無いし。しかも連続で起きた爆発で部屋ん中煙が蔓延してて視界ゼロに近なってる!


 「私の左手に掴まって下さい!!!!」


 近寄っとったから美形くんの声はすぐ側で聞こえた。


 「はいぃぃぃぃ!!」


 もぅ何でもこいや!!


 何やわからんけど、視界ゼロの中に見えた差し出された美形くんの左手にあたしは掴まるというよりしがみついた…





 

 …………はずなんやけど






 「………えぇぇぇ。ここどこなん?」




 目の前に広がるのは砂漠に広がる満天の星空で……




 「しかも美形くんおらんや〜ん……」







 またこの世界でひとりぼっちになってもた。

 お願いやから…あたしに休息を下さい。

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