20/31
19 8月4日 デイリー・テレグラフ紙 切り抜き
八月四日 デイリー・テレグラフ紙 切り抜き
昨日、ガードナー伯爵邸宅内で殺人事件が発生した。
被害者はガードナー伯爵夫人ヒラリー・ガードナーである。
夫人は、昨日刃物で何か所にも切り刻まれ、絶命しているのを同じ邸宅に住まうジュディス・ガードナー嬢によって発見されたのである。
連絡によって駆けつけられた警察の発表によると、犯行は夜のうちに行われたと推測されているが、不可解な事に当のガードナー伯爵である、ドナルド・ガードナー氏が行方知らずになっているという。
ガードナー伯爵は負傷によって東方の戦場より五月に帰還されたばかりであり、戦傷により介助がなければ外出の出来ない身体との事。
当局によれば、昨日は暴風雨が吹き荒れており、それによって物音や悲鳴などがかき消された事が、犯行発覚を遅らせる一因になったと推測し、何らかの事情を知っていると思われ、現在所在不明になっているガードナー伯爵の捜索に全力を尽くしているという。
なお、識者の間では昨今の凶悪事件の増加は、外国から流れ込んでくる不良移民や革命家の手によって行われていると断言する者もおり、政府に対し、国内在住外国人のより厳重な監視や、スラムの一掃などをすべし、と声高々に主張している。




