第5話 :『絶望のガルヤムと、自ら服を脱ぐ理由
砂漠を横断する旅はなかなか終わらなかった。
旅があまりにも辛かったため、捕虜たちは砂嵐が訪れるたびに、むしろ盗賊とともに死んでしまいたいと願った。 ざらざらした砂と影一つない平原に焼き付ける太陽、圧倒的に不足している水と食糧。 それも汚れた水とかろうじて腐っていない食べ物だったので、体の弱い捕虜たちは次々と病にかかってしまった。
盗賊たちは容赦なくそうした者たちを捨てて去り、残された者たちの最後は惨めなものだった。
どれくらいの時間が経ったのかは分からないが、ある瞬間から砂の上に立てられた標識が現れると、捕虜たちは盗賊たちの目的地が『ガルヤム王国』であることに気付いた。 それは遅すぎる気付きだった。いっそ知らない方が良かった。
ガルヤムは成立以来、侵略したことは多かったが、侵略されたことは一度もない国家だった。 ガルヤムに入る関門には、過酷な砂漠の中でも特に危険な地域が細い帯のように首都と主要都市を取り囲んでいた。 吹き荒れる砂嵐の中で軍隊を派遣しても、砂漠に慣れていない他国の兵士たちは耐えられず、次々と倒れて全滅するのが常だった。
まもなくその地域に突入するという警告文のような標識に、ケムート族以外の捕虜たちは絶望した。 今でも死ぬほど辛いのに、もう少しすればこの苦痛よりももっと激しい苦痛がやって来るなんて。
しかもこの盗賊団は、捕虜たちを奴隷として売り払って得る金に興味があるようには見えなかった。 彼らは商品価値を考えることなく、面倒だと感じたら捕虜たちを容赦なく殺したり捨てたりした。 時間が経つにつれて捕虜たちの目からは光が消えていった。
その中でエスターは他の捕虜たちに比べてまだましな生活をしていたが、その代わりに彼女は盗賊団の首領であるカールツェンが望むときはいつでも引っ張られて行き、彼の欲望の掃き溜めとして扱われる運命にあった。
歩くだけでも辛い捕虜と違って、ケムート族は体が全く違うのか、盗賊たちは時折、荒涼とした砂漠でも生き残った動物を狩猟したり、喧嘩をしたりして楽しんでいた。 ただ、誰も敢えてカールツェンに喧嘩を売る者はいなかったので、カールツェンが先に提案しない限り、彼が戦う場面を見ることはできなかった。
彼はいつも最も多くの獲物と勝利を手にしていた。 血が飛び散る音と動物たちの惨めな悲鳴が聞こえるたびに、エスターは目を閉じて首をすくめた。顔は恐怖で固まっていた。
無目的に遊びで殺される動物に哀れみも感じたが、カールツェンが高揚した状態で自分に強いる行為が何よりも恐ろしかったからだ。 彼はわざわざ夜が来なくても、興奮したり欲望が湧いたりするとエスターを呼びつけた。 その中にはエスターが今まで聞いたことも見たこともない、恥ずかしくて恐ろしい行為もあった。
しかし結局、エスターはカールツェンが自分の首を一度絞めたり、頬を打ったりすると簡単に諦めてしまった。 厚くて大きなその手は、ほんの少しの力でエスターに大きな痛みを与えたからだった。
ある日は真昼に呼ばれ、テーブルの下に跪かされながら、エスターは「やっていれば慣れる」という言葉は全て嘘だと思った。 彼がエスターの体を弄ぶたびに、痛みよりも奇妙な感覚が襲うこともあったが、終わったあとに残るのは胸に溜まる嫌悪感だけだった。
カールツェンとの情事、それを情事と言っていいのか分からないが、その行為を思い出すたびにエスターは吐き気を催した。 彼女はその行為に慣れなかったが、代わりに諦めることは覚えた。
カールツェンは初夜に自分が裂いてしまった服の代わりに、死んだ女の荷物から取った服をエスターに適当に投げ与えた。 それまでは裸同然の服を着て縮こまっていなければならなかったので、エスターには思い出すだけでも恐ろしい日々だった。
それでも盗賊たちはエスターと接触して無駄にカールツェンの機嫌を損ねたくなかったし、捕虜たちは舌打ちするだけで彼女に手を出す気力もなかったので耐えられた。
その後、エスターはカールツェンがひどく酔っていたり急いでいるように見えるときは、むしろ自分の手で服を脱いだ。 裂かれるよりはずっと良いと思ったからだった。 そしてカールツェンは彼女が自分で脱ぐ方が自分が脱がせるよりも早いことを初日以来知っていたのか、そういうときは黙って待っていた。
その日もそうだった。
縮こまりながら腫れた足を揉んで休んでいるエスターの髪をカールツェンが掴み、彼女を自分のテントに引っ張って行った。 既に酒を飲んでいたのか、急いでいるように見える彼の服には獣か人か分からない血が点々と飛び散っていた。
その状態のカールツェンがどれほど危険かをよく知っているエスターは、素直に自分から服を脱いだ。 震える手のせいで何度も手が滑ったが、カールツェンが急かすほどではなかった。
ついに裸になると、カールツェンはベッドに座り、顎でエスターに指図した。 エスターは彼が何を望んでいるのかを察した。 逆らうことなど許されない。彼女は震える体でベッドに這い寄り、カールツェンの前に跪いた。
テントの中には、荒い息遣いと湿った音が響いた。
「うん… うぅ…」
エスターの喉からくぐもった悲鳴が漏れたが、カールツェンは気にする様子もなく彼女の髪を掴み、自身の欲望を押し付けた。 砂色の薄い髪が指に絡みつく。彼は道具でも扱うかのようにエスターを揺さぶった。
以前、彼を満足させられなかったことで殴られた記憶が蘇る。恐怖が体を支配し、エスターはただ必死に彼に従うしかなかった。 屈辱で涙が溢れ、視界がぼやける。 太ももの間が震え、全身から力が抜けていくようだった。
「は… 本当に貪欲だな。」
カールツェンが喉の奥で低く唸った。 恐怖に震えながらも命令に従うエスターの姿に、彼は歪んだ満足感を覚えているようだった。
エスターは目をぎゅっと閉じて、全てが終わるのを待った。 下腹部がきつく締め付けられる感覚と共に、背筋がゾクゾクするような恐怖が走る。 ただ嵐が過ぎ去るのを待つ小動物のように、彼女はその身に加えられる暴力的な愛撫と蹂躙を耐え忍んだ。
やがてカールツェンの動きが止まり、テントの中に重苦しい空気が沈殿する。 エスターの頬には涙と、唾液と混ざった生臭いものがこびりついていた。 彼女は動く気力もなく、ただ荒い呼吸を繰り返しながら、自身の惨めな運命を呪うことしかできなかった。




