夕刻
テレビを消して時計を見上げると、短い針は6にお別れを告げるところだった。
思い出したように部屋は静かで、心の穴は妙に風通しがよい。
どうだろう?
独りで暮らすには物寂しいこの部屋も、大切な誰かと暮らすには不自由ない快適な空間だろうか?ひょっとしたらエデンのようなところだろうか?
そんな恥ずかしいことを考えながら並べた食器を熱を持った料理で満たしていく。
淡いクリーム色のテーブルクロス。四角いキャンパスを鮮やかに彩ってゆく。
色合いは良好。風味には感嘆。
自分の多くはないレパートリーの中から選んだ得意料理の組み合わせ。
素朴な木の椅子が二つ。
嗚呼。
きっとあと数分で表の廊下には足音が響き、錠が回って扉が開く。
そのときはそうさ、いつもどおり。
世界でたったひとりの親愛なる君を迎え入れる。
日々が永遠に続いてきたみたいな、そしてこれからも永遠に続くかのような、そんな、油断しきった顔をつくってね。
今日はちゃんと言おう。
おかえり。
ここで初めての連載小説(と、いうことにしておきたい)。
がんばって書きます。
よろしくお願いします。