ナーロッパ世界観と現実は違うから比べるのは違うんじゃない?
ちょっとキツめの言葉が多いエッセイです
題名の通りで、なろう小説界隈における中世風世界と、現実の中世は成り立ちや現地の制度が違うのでご指摘するのは何か違うのではないか?と思った次第です。
例えばなんですが、魔法がある世界では物理法則が違う可能性がありますよね。火を起こすプロセスが違うだとか、そういったところです。
そもそも話によっては月が一つ以上ある世界もあります。重力が違うよなあ、そうしたらなあ。
また、爵位制度も分かりやすさから現実の中世と同じ名称にしていて同じ順位にしているだけで、作者当人なりの世界観と理解によって成立しているものだと思っています。
更に言えば、創作であって史実小説ではないのですから、現実の中世と同一のものとして扱う必要はありません。
要するに、作者の世界観では「そういうもの」として描かれているものに、細かいことを言うのは間違っているということです。
剣と魔法のファンタジーワールド小説を読んで、「剣はこんなに長々人やモノを斬るのに使えない」「魔法なんて非科学的なシロモノを書くなんて信じられない」とクレーム出す人はいませんね?
なぜならその小説ではその存在を認められているからです。
恋愛小説を読んでいて、都合よく障害が現れ、愛し合う二人がそれを乗り越えていく様子を見て、「ご都合主義が過ぎる、現実はもっと穏やかで変化がないものだ」と怒ることもないでしょう。
小説は娯楽です。盛り上がるポイントのない小説も必要ですが、盛り上がりが必要な小説もあるのです。
話の展開として、優秀であるはずの地位の高い人物がおばかさんで指摘したくなってしまう問題に関しては今回は見送ります。別のエッセイでいずれまとめます。
今回焦点となるのは、作者の中で成立している世界観について、過剰な指摘を行い己の知識をひけらかす行為についてです。
具体的に言いましょう。
王妃「陛下」か、王妃「殿下」か。
これを例にします。
これ、どちらも正解なんですよ。国によって違います。文化の違いってヤツ。
日本では「陛下」です。
宮内庁のホームページとかニュース確認してください。天皇がたは「両陛下」と呼ばれていませんか?
なので日本人の認識としては王妃陛下なんです。(あえてこの言い方にさせてくださいね)
これがまた他国となってくると殿下であったり陛下であったり様々です。
参考にする国や書籍で異なってきますし、和訳されたソースでの情報確認となると翻訳者の匙加減です。
そういったものをソースとして扱い、ご指摘をするというのもなんともバカらしい。
ましてや架空の、創作上の国の尊称です。
作者の世界観では王妃殿下なのかもしれないし、王妃陛下なのかもしれない。
そこを重箱の隅を突くような感想を残すことに何の意味があるのか、私には分かりません。
自らの知識・常識と違うからモヤモヤする。
それはもちろん理解できます。
しかしあなたが読んでいるのは史実小説ではないのです。
架空の、異世界の、とある国のお話です。
あなたの想定している中世ヨーロッパの特定の国のお話ではありません。
なので、史実と齟齬のある設定であっても、史実に忠実に作りこんだと表記されていない限り、ありのままで受け止める他ないと「私は」思います。
これが出来ないのなら一切の創作小説を読むべきではないでしょう。
学園ストーリーでは、現実では施錠されている屋上でお弁当を食べたり仲間と集まっておしゃべりしたりします。
生徒会が異常なまでに権力を持ち、教師を含む学校運営側と対等かそれ以上であることさえあります。
あるいは制服を過剰に着崩したり、改造したり、あまつでさえ学生らしくない制服だったり。
挙句の果てには現実では有り得ない髪色をしていたりまでします。
ファンタジー小説など論外です。
身の丈ほどの大剣を細腕の剣士が振り回すことはしょっちゅうですし、武器は異常なほど耐久が高く、防具も損傷しないことが多い。
根無し草で転々と旅に旅をしている人物が異様なまでに高名で、切り札のように扱われて大金を稼ぐだなんて有り得ますか?
ここにハーレム要素が混じってくると更に現実味が減ります。
定住先があるわけでもなければ決まった収入もない荒くれものです。一時チヤホヤして金をせびるだけならともかく、一生涯を共にしようという女性はいないでしょう。
そういうわけで、長々と書き連ねましたが、私の主張は一つだけです。
創作と現実を一緒にするな。
もしも、どうしても気になるのなら、X(旧Twitter)にでもモヤモヤをぶつけ、その作品の感想欄にご指摘を書くのはやめて頂きたい。
よほどの矛盾でもなければ世界観の否定を行う、あるいは史実に寄せるよう強制する行為は、作品の否定であるからです。
それを有難がる作者などいません。
また感想を読む他の読者も姑みたいな指摘をする人がいるなと不快になるだけです。
それが気になってどうしようもなくて頭を掻きむしり狂乱状態に陥るほどであるのなら、その話はあなたに合わなかったという結論に至るだけです。
感想など書かずに記憶から速やかに抹消し、あなたの満足する世界観の小説を読みましょう。
小説家になろうにはたくさんの小説があるのですから、あなたの満足できる小説は山ほどあるはずです。