78.追跡
病室には、舞華は居ない…現状を察するに、さらわれたと考えるべきだろう…
この状況に、俺の後に走りこんできた舞華のおっさんは、取り乱し新草さんに注射を打たれ、いま別の場所で拘束されていて、おばさんと刹那は、警察に向かった…
「これを…冥乃がやったのかよ…」
俺は手掛かりがないか、病院から出て、ガラスの散らばっている窓の下に行こうとしたが、既に警察が進入禁止のテープを張っている事と、野次馬が邪魔で調べることは出来なかった…
冥乃は化物の本質と言っていた…それは…人を害し…滅ぼされること…
未知の存在を恐れ…バケモノと呼び…人は滅ぼしてきた…
自分よりも強きものを…人間は倒した…
まるで…化物は…滅びる運命だと言わんばかりに…
つまり、冥乃は…俺に滅ぼされたいと言っているのか?
滅ぼされる為に、害すると言うのか?
考え事をしていると…石が…
(のぅ…尾田はどうしておるのじゃ?)
すっかり忘れていた事を告げた…
俺は周囲を見る…警察だらけ…病院内に警察が…多数…
俺は…病院の方を見ると…両手を合わせて…
合掌!!
(そうか…見捨てるのじゃな…)
俺の行動を理解した石はそう言うと…
(あのような足手まとい、居ない方が、楽に動けるのう…それに、あれじゃ、顔がつぶれておるなら、気付かれにくいじゃろ)
石は、まあ、別に良いんじゃね~的な感覚で、そう言うと…
(誰かが、小僧を探しておるぞ?病院の入り口の方からじゃ)
誰かが俺を探している事を告げてくれた。
俺がその場所に向かうと…
「あっ、居た居た!君!さっきの顔面を潰した患者の知り合いだよね?」
それは、尾田を診ていた医者だとおもう…
「いえ、知りませんが?」
尾田が捕まっていたとしたら、俺は共犯になるから、問答無用で尾田を見捨てることにした…が…
「そんな…あの人診察代も払わずに、居なくなるし…どうしたら…」
どうやら尾田は、逃げたようだが…
「そのくらい自分で立て替えれば良いんじゃないんですか?下手に騒ぐと、もっとやばくなると思うけど…」
そう言うと…医者は少し間をおいて…
「それもそうだ…君さっきの話は気にしなくて良いよ!それじゃ!!(カルテを細工しないと!)」
そう言うと、彼は急ぎ足で、診察室へと戻った。
尾田の奴は捕まっていないようだが…近くに隠れているかもしれないと考えた俺は病院の外に出て怪しい動きがないか調べ…
そこで俺は…足元のシミの様な点に…気がついた…そして、その点は、病院の敷地の外へと…続いていた…
これは…水…おそらく、点滴の液体…そして…血…
舞華の傷口が開いたのだ…
早く追わないと…手遅れになる!ちくしょう!!
俺は走り出した…大切な人を救うために…そして…大切だった者を…
ああ…化物の性分に決着をつける為に…覚悟を決めた…
過去の作品を読んでいただき感謝します!
現在執筆を休止させていただいていることに心苦しさを感じています
気づけば最後の執筆から5年が過ぎていたことを改めて実感しています
気が向けば続きを書いていきたいと思いますが……あまり期待しないでくださいね!