76.…冥乃…
これは修正版です
前回の76では納得できなかったので作りなおしましたが
更新がうまく反映されておらず、分らなくなった事と存じますのでここでお詫び申し上げます
婦長と呼ばれた看護師に、冥乃と特徴を話しているとき…看護師の目が…俺の背後に…
「あら?その方だったら…」
看護師がそう言った瞬間、俺は横へ跳んだ!
そして反転すると…なるべく自然体で後ろを見た
「こら!暴れちゃいけないでしょ!」
俺の動きに看護師が怒るが…俺の眼には、俺の背後で手を伸ばそうとしていた状態の冥乃を見た…
その顔には…怯えたような…怯えているのに無理やり笑顔を作った彼女が居た。
「あの…雅春く…」
俺は…冥乃を睨みつける…
「あの…あの…どうして…私を…睨むの…」
白々しい…人である真似をしている…
今すぐにでも、飛びかかりたかった…だが、人の目があるこの場所では出来ない…
「別に睨んではいない…それより、話がある」
俺は警戒しつつ、後ろを向くと、看護師に礼を言った。
「見つかりました、ありがとうございます」
看護師は、病院では静かにと、もう一度俺に注意をすると、去って行った。
これで邪魔者は居なくなった。
俺は再び冥乃を見ると…
「雅春君…ごめんなさい…」
冥乃は謝っていた…
「なにを謝っているんだ?なにを考えているんだ?」
気を許すな…気を許せば、この存在はきっと俺に牙をむく…俺を排除しようと…
「私が何か雅春君を怒らせるような事をしたから…でも、考えても、なにもわからなくて…でも、雅春君が、あんなに怒る事だから…なにか…なにか…私はとても大変な事を…」
イラつく…石が言っていた…表の人格は知らないという奴か?
「雅春君のとても大切なものを傷つけたみたいで…」
知らなければ、知る前に全てを終わらせる…そう考えようとしたが…この言葉を聞き…俺の我慢は…俺の怒りは抑える事が出来なかった…
「傷つけたみたい?傷つけたみたいだと…ふざけるな!」
急に切れた俺の様子に冥乃は戸惑い、後ずさる…
「俺の大切な人を傷つけたくせに!俺の大切な人たちを殺そうとしたくせに!
俺の大好きな…先輩を…殺したくせに!!お前が狂って…殺したくせに!!」
(歯止めが利かない…悪意が…抑えきれない…なぜだ?なぜ俺は…)
そして、俺は…きっと…最大の禁句を言ってしまった…
「化物め…消えてしまえ…」
自分の口から出たものとは信じられなかった…
その言葉が出た後で…俺の言葉は止まり…急に冷静になっていく…
なぜ彼女が舞華にとどめを刺しに動くのか?
彼女の技量なら…心臓一突き…それに…初撃を仕留め損なっても…そのまま、二手三手で仕留められる…
それなのに…なぜ俺は…冷静さを取り戻した意思が…冥乃を見る…
顔を俯けている…表情が見えない…
俺は…そんな…彼女に手を…伸ばそうとして…
『化物…消えろ…化物…消えろ…』
俺の鼓膜を揺らす多重の声に、その手を引いた!
彼女が不自然に片方の肩を落とすと…壊れかけのマリオネットのように…不気味に…首をかしげながら顔を上げる…
その眼には…生気は感じられず…ただありのままを聞き流した人形…
人の形をした…何かがそこに居ただけだった…