66.不発の罠
「奴は、追い詰められながら、俺たちに最後の罠を仕掛けてたんだよ」
俺は、いまいち状況の読めていない桜庭の襟首を手首にひっかけ、赤い点灯が灯る隣の部屋に入った。
「うぉぉぉ!!」
部屋に入った瞬間、尾田が雄たけびを上げながら、木の板を俺に振りおろしてきたが、俺は軽く半身避けると、尾田の顎と足に拳を叩きこんで、地面に転がすと桜庭をこの部屋の入口に軽く突き飛ばした。
「うわぁ!?なんで穴が!?」
急に投げられた上に、目の前の床に穴があいている事に悲鳴を上げた。
「簡単に説明するぞ、この部屋は、都合良く穴が開いていたと考えるのが一番だろう、
暗室で足元も暗い」
桜庭は、腰を抜かしながらも、俺の話を聞く
「つまり、この部屋に不用心に足を踏み出せばその穴から落ちる」
俺が、この事に気づいたのは、実を言うと、この部屋の電灯をつけた時だ。
ただの感が、俺にこのドアを開けさせなかった。
「そして、もし普通に開けようとしたであるなら…あれを見ろ」
俺は、内側に開くドアに結ばれている紐を指さす
「あれは?」
「おそらく、外側のドアを普通に開けようとしたら、勢いよく開くようになっていたんだろ?」
そうなれば、バランスを崩して、前に出た瞬間に、穴へダイブすることになる。
「わかったか?」
俺は桜庭に手を貸しながら、聞いたが…
「それじゃ…どうやって、尾田君は奥に居たの!?」
俺はため息を吐きながら、足元にある木の板を指さした…
「あんた…推理力も想像力ももっと養えよ…」
俺は頭に手をやった。
「ちょっと、驚いて考える事が出来なかっただけだよ」
俺の言葉にショックを受けた桜庭は、目をふるふるとさせていた…
天然パーマの男が小動物のように震えても…
「キモ!!」
俺はそういうしかなかった。