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63.厄日の始まり

「なんじゃ…店の前で…」

手に、なぜか冬なのに打ち水用のひしゃくを俺に向けながらそう呟いた…

「それが、水をぶっかけた奴に対して言うことか?」

冬のこの寒空に頭から水をかけられた俺はそう答えた…


午前9時30分…俺は桜庭の頼みを聞く為に、俺はホロウの前で待っていたが…

店内からふらふらとあの古い言葉を使っていた従業員が手にバケツを持って出てくると…いきなり、打ち水を開始しやがった!?


本来、打ち水とは、夏の暑い日に撒くものであるはずなのに…まさかこんな冬に…

俺は、慌てて水を避けようとしたが…

スッパン!!ピシピシ!!

あまりの手首の捻りの力で、俺の反応速度よりも圧倒的に早く痛い水しぶきが俺の頭に叩きつけられ…

「なんじゃ…店の前で…」と冒頭に戻る…


店内に案内された俺は、拭くものを借りて、頭を拭いた

「すまぬ…小僧…昨日は、かがみが妾を寝かせてくれなくて…」

鏡?…この場合は人の名前か?それに…寝かしてもらえなかったって…

「彼氏といちゃついて、寝不足か?まったく、お熱い事だな」

まったく…俺と同じくらいでもう彼氏とそんな事してんのかよ…

世間はお盛んで、早いな!!

俺は、そんな事を考えたが…

「違うのじゃ!!別に、鏡は、彼氏とか…そう言った者ではなくてのう…」

「そう言った者じゃなくても、そう言った事が出来るのかよ!?」

俺は、このウェートレスの発言に驚いたが…ふと考えると…こいつの口調…石と同じ…

だよな?


「お主!!何を考えておるか分らんが!!やましい事はしておらんぞ!!」

「やましい事をしていないって言われても…普通はそうとしか捉えられないんだが…」

俺がそう言いかけた時…俺の視界から…ウェートレスが消えた!?

“トスッ”

「虚けが…妾をこれ以上怒らせれば…刺す…」

その声は、俺の背後から聞こえ…首筋に尖った何かが刺さっている感覚がした…

…まて…刺さっている感覚?ちょっ…!?

「待て!!刺さっている!!俺の首に何かが刺さって…」


「ふむ?…ぬぅ!?少し刺してしまったのじゃ!?寝不足が原因じゃな…」

やれやれ感が感じられる言葉が背後から!?まて、こんな事して、やれやれで済むのか!?

首の後ろから、血が流れる感覚が!?


「美味しそうな匂いだ〜」

店の奥から不気味な気配が…この感じは店長だ!?

「うむむ!?この状況を見られればヤバいのじゃ!?」

背後であの女が慌てる気配がしたと思うと…急に気配が消えた!?

俺は慌てて、背後を見ると、そこには誰もいなかった…そして…足元には…

血で濡れた爪楊枝が…落ちていた


「あの女…これで刺しやがったのか!!」

飲食店なら、どこにでもあるこんな物で…首を刺された俺は…少しイラっときたが…

“ベチャ…ベチャ…”

「……!?」

俺の血が出ている首を舐められる感覚で声に出ない悲鳴をだした!?

いや…悲鳴を出そうとしたが…口に指を入れられ…叫ぶに叫べなかった…

「旨いの…我の舌を唸らせる一品じゃ」

背後から…あの店長の声が俺の背筋に悪寒を走らせる!!

「うぐっ…!!」

俺は何とか暴れて、抜け出そうと考えたが…片腕で動きを封じられた…


「暴れるな…すぐに気持ち良くなるぞ…」

店長が…俺の耳に息を吹きかけながら…俺に話しかける…

感じたことも無い感覚…に…俺は…震えた


“ベチャ…ベチャ…”

また…首を舐められる…そして…俺の口の中で…店長の指が…嬲るように動く…くねくねと…俺の舌を弄ぶ…意識してはいけない…この指を…意識してはいけないと思った…

だが…その指は甘かった…ケーキの様に…甘く…痺れる感覚…待て…何を考えている俺…

「………!!!!!」

首筋が…舐められている所が熱くなる…

止めろ!!やめろ!!やめてくれ!!俺は…この感覚に耐えられないと思った時

「くはっ…はぁはぁ…」解放された

俺は…地面に片膝を着き…荒く息を吐いた


「どうだ?」

「はぁはぁ…どうだって…はぁはぁ…何が…だ…はぁはぁ…」


「首の血だ…もう完治したと思うのだが…」

俺は、店長の言葉に…首に手を触れる…ぬちょり…と店長の舐めた所は唾液で濡れていたが…傷が無かった…爪楊枝で刺されたはずの所の傷が消えていた…


「!?」

俺は混乱した…えっ?えっ?あまりの事に、呼吸が正常さを取り戻す

「なんだ?我がこんな事が出来て不思議か?」

「当たり前だ!!普通に考えて不可能だろ!!」

舐められて怪我が治るって…普通…


「童…我が普通でないことは、祭に渡したお守りで、もう理解していると思ったが…我の買いかぶりすぎであったか?」

サングラスに隠された朱色の目が…俺を見つめる

昨日の事を知っているのか!?


「あれは、我の目であり、耳でもある。故に、我には全てわかる」

どうやら…人ではないものは…意外と居るようだ…と俺は考えてしまった…


「やぁ〜月影君!!はやいね〜」

何も知らないのん気な男が…今、待ち合わせ場所にやってきて…


「どうしたんだい?顔が赤いよ?」

変な事を言ってきた…


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