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58.病院

ズガン…ズガン…ズガン…

赤いランプの灯された手術室の前で、病院の俺は壁を殴りつけた…

「なんだよ…なんで…舞華が…舞華が!!」

俺がもっとちゃんとしていれば…俺がもっと…強かったら…変に意地を張ったせいで…馬鹿だから…馬鹿だから…なにも…なにも…守れなかっ…

俺は渾身の一撃を…壁に叩きつけようと腕を振り上げて…止められ…

「落ち着いてください!!」

そう怒鳴られた…

俺は…その声の主を見た…舞華のおばさんだった…

目を赤くして…その息は荒い…

「舞華は大丈夫です…私の娘なんです…」

俺よりも叫んで…泣きたいのに…強い…人だ…


「ぎょえ!!!!!!!!!!!!!!」


それに比べ…おっさんは…外で吼えていた…


「他の患者にご迷惑ですので静かにしてください!!」

そんなおっさんに勇気のある看護師が近づいて注意するが…

「舞華!!!!!!!!!!!!!」

興奮したおっさんには…意味もなく…

「ちょっと!!静かにしてって…言ってるでしょ!!」

看護師が注射器を懐から取り出し…おっさんの首に突き立てた…

「ハッガファ!?」

その瞬間おっさんは恍惚な表情を浮かべるとそのまま撃沈した。

人というものは、自分よりも狂った人間を見ると正気に戻るものだ…

俺は自分を落ち着かせることができた。

「すいません…俺取り乱して…」

「いいの…貴方が取り乱してくれなかったら…きっと私が取り乱してたわ…

でも…なんで家なのかしら…今日は刹那のことで…悲しいことがあったのに…いったい誰が…」

その瞬間、手術室のランプが消え、中から医者が出てきた。

「先生…舞華は…舞華は無事なんでしょうか?」

舞華のおばさんが…先生に駆け寄ると…医者はマスクを外しながら…首を…



横に振った…



「!!!」

おばさんが…倒れそうになりながらも…踏みとどまる

「すいません…そういう意味ではなく、手術自体は成功しています…

ですが…意識が…意識がないのです…長年医者をやってきていますが…こんなことは初めてです…」


「無事でも意識がない…」

おばさんがそう呟いた…

「何が原因なんだ?先生…何が舞華を…ここまで傷つけたんだ?」

「んっ…一応…鋭い刃物と思うのだが…おそらく…果物ナイフのような大きさだと思うんだが…」

俺の質問に…医者は両腕を軽く広げ…そのサイズを教えてくれた…

それは…冥乃ちゃんが…ついさっき…あの場所で見た冥乃ちゃんが持っていたものと同じサイズのものだった…


俺は…すぐさま…病院を抜け出し…外へ走り出した…

おそらく家にいる冥乃のところへ…



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