45.疑惑
「そうさ!!まさにスクープ!!」
俺の言葉に桜庭は嬉しそうに頷いた。
「しかも、この事件は、まだ世間に知られていないし…酔っ払いの戯言扱いされているから…怪奇事件が…僕の手で…大スクープに!!」
そう言う桜庭の姿に、先ほどのような、不気味さは無かった…
これは…どう言う事だろうか…演技か?
俺はそう考えたが…それなら何で…俺に正体をばらすような真似を…ばれないと思っているのか?
「その写真…出来たら俺にも見せてくれないか?」
それが演技だとしても、今の俺には何も出来ない…それなら、俺はこの手に乗ろうと思った。
相手が俺を騙して何をさせようとしているのか…ぎりぎりまで探ってやろう…
俺にはそれしか出来ない
「う〜ん…まあ…気になるよね…よし解った!!君の頼みを聞いてあげよう!!
むしろ、君がここに居なかったら、この特ダネにも会えなかったかもしれないから…そんな怖い顔をしないでくれ〜
一応、君とは協力関係にあるんだからさ〜」
一応か…確かに協力関係だな…先輩に関する事件だが…この事件も先輩に関係があるように思える。
だから…信じても良いのだろうか?
いや、今は信じるしかない…さっきも考えたように…俺はいまは進むしかないんだ
「そうだな、すまないな…さっきの出来事で少し興奮していた」
「まったく…確かにそうだよね〜僕も初めて事件を目の当たりにしたとき…足がこうガクガクして…怯えていたからね〜」
桜庭はそう言って笑っているが…普通…こう言ったものに、何度も出会う記者は居るのか?
むしろ俺がそんな記者だったら…転職するな…こんな怪事件に何度も遭うなら…某探偵に災いを招く人間と思われるからな
「まあ、こう言う事件に何度も遭遇していたら、変なあだ名とか貰ったりするんだけどね〜」
むっ…俺が考えていたことと同じ事を…
「でっ?そのあだ名は?」
「厄祭…厄の祭のようだからさ…
はっはは…はぁ…親の名前を馬鹿にされるのは辛かったさ…一応…これでも人事異動で怪談関係の記者から、傷害事件なんかを追いかける記者になったんだけどね…」
「大変なんだな…まあ…現像できたら連絡をくれ…」
俺はそう言いながら、一応コンビニに寄って帰ろうと考えていて、へんな物を踏んだ…
「ぐっふ…」
それに変な音も聞こえ…俺は足元を見た…笹本だった
「月影君…帰るのは構わないけど…人を踏んでいるよ」
確か、笹本に恐怖を与えようと思って、この場所に居たんだったな…
まあ…今日はこれ以上何かをする気にはなれなかった
「別にただの酔っ払いでしょう?変に絡まれる前に帰るぜ」
俺はそう言うと、コンビニへ走り出した。
(予定よりも時間がかかってしまった…
それにしても、あれはなんだ?紅玉と同じ力を持つということは…紅玉と同じ様な存在?)
そう考えても、その事を知っていそうな紅玉は、眠っている…
(紅玉に眠りが必要なのはびっくりだが…どうやったら起こせるんだ?)
俺は懐から紅玉を取り出し…試しに振ってみた。
縦縦右右左左下下…
まったく反応なし…なんだよ…どうして目覚めないんだ?
むしろ、どうやったら起きるんだ?
そんな事を考えているうちにコンビに到着した。
まあ、良いか…明日になれば、起きているかもしれない
俺は懐に紅玉を戻した。
とりあえず、俺はポテチをかごに入れる
(飲み物は何が良いか…一番無難なコーラを…)
手を伸ばそうとして…俺の眼に変なものが見えた
「ポイズンソーダ…どろりとしている上に…なんだこの変な物体は…」
俺は成分表を見た…梅と大きく記載されていた
「梅!?この奇妙な物体が…か?」
俺はその謎の飲み物?を戻そうと考えたが…かごの中に放り込んでしまった…
毒と言うな飲み物を…
その結果…俺はコンビニの前で吐いてしまった…