35.俺は
二人の頭を撫でながら、俺は今後の事を考えた。
今朝、冥乃ちゃんにはあんな事を言ったが…前にも言った事があるような気がするが…
俺は、自分が出来る事がないのかを探している…
先輩が探していた石…それは、実在した…そしてこの石の力…
再会を司る石…
(おい…石…俺の心が読めるか?)
(うむ、聞こえておる…別に再会の願いを譲渡する事なら出来るが…その者が、会いたいと願わぬ限り、効果は無い)
願いの譲渡が可能か…だが…誰に頼めば…あの男と…先輩を殺したといわれる男と再会できるんだろうか?
「雅!!」
俺は舞華の声で意識を取り戻した
「もう昼だというのに…何を寝ている!!」
いつの間にかお昼になっていた…無心で手だけを動かしていたから、まったく気づかなかった。
「はにゃ〜」そして、俺の片手にまだ気づいていない野生小動物が…
「おい、小さいの…飯だぞ!!」俺は撫でる手を拳に変えるとその頭にでこピンをした。
「ふぁ!?」
急に現実に戻ってきた朽木姉は、額を抑えながら左右を見て、俺と目が合うと
「何でお前が、ボクの教室にいるんだ?
さては…お腹が減ってボクの所へ急いできたんだな〜まったく〜食いしん坊だな〜」
なんて馬鹿なことを言い出した…
「寝ぼけるなチビ!!此処は俺の教室だ!!」
「ちっ…チビ!!また身体的特徴を…侮辱するなんて!!…って…俺の教室?」
チビに反応して朽木姉は怒鳴ったが…俺の次の言葉を理解し、周囲を見る
「あれ?此処ボクの教室じゃない…」
「だから言っているだろう?それより…朽木姉、授業は良いのか?」
ずっと無心に手を動かしていた俺が今更だが…そう聞くと…朽木姉の顔は青ざめた。
「うわぁ!!ボク…今日授業に出てないよう!!」
まあ…泣き出しそうな、朽木姉を宥め、俺は食事を食べる事が出来た。
「なぁ…」
ある程度食事が終わり、俺は、二人に話しかけた。
ちなみに今回は、食べ物を押し付けられる事は無かった。
「昨日の話しだけどさ…どっちか、尾田と自己紹介してないか?」
「はぁ?」
俺の質問に二人は呆れ顔で返事をした。
「昨日も言ったけどさ…あの事件があって、ボクは連子と仲が良くなったんだよ
その前は殆ど接点が無いし…それ以降は、危険人物なんだよ!!挨拶すらしてないよ!」
「私も…聞いただけだから…会話すらしたことも無い」
初っ端、石の第一条件に二人とも該当しなかった。
「そうか…変なこと聞いて悪かったな」
俺は二人に謝ったが
「別にいいけど…なんでそんな事を聞くの?」
朽木姉がそんな事を聞いてきたが、どうせ説明しても解ってもらえないだろうから、
「いや、なんでもない…ただ知りたかっただけだ」
俺はそう言って言葉を濁した。
まあ、不服そうだったが、朽木姉はそれ以上聞かなかった。
なぜなら…
キンコンカンコン!!
「二年F組の朽木刹那さん、教育指導の笹本先生が教育指導室で待っています。
すぐに来てください」
「えぇ!!何でボクだけ呼ばれるの!!」
こう言う理由だった…
ちなみに、俺達が呼ばれなかったのは、とりあえず、教室に居て…先生が自分の問題をもみ消したからだ…査定がどうとか言ってな…世の中腐ってやがる…そう思った昼休みだった。