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28. 虚

俺は地面に叩きつけた石を再び掴むと…破壊するつもりで…俺は力を籠めた…

「止めるのじゃ!!痛い痛い!!止せ!!砕ける……めろ…止……」

力を籠めるにつれ…石の声は静かになってきたが…あともう少しで、砕けると思ったが…俺の握力の限界が来て…力が弱まった…俺は忌々しい、この怪我に舌打ちをした瞬間…

意識が飛んだ…何が起こったのか解らなかった…だが…手足が…悲鳴を上げた…

苦痛が俺の体を駆け巡る…そして…手足の感覚が失い…次第に俺の体の中心へとその苦痛と消失感が広がっていき…意識以外の全ての感覚を失った…


どれだけ…この無の中を…漂っていたのだろうか…一分か?1時間か?それ以上か?

もう…そんな事はわからない…もう…考えなくても良い…そう思ったとき…

不意に…誰かが…俺を呼ぶ声が聞こえた…そして…急に全身?に痛みが走り

「っ!?」

そして、急に俺の意識は戻った…

目の前には…冥乃ちゃんが居た。

「大丈夫ですか!?」

冥乃ちゃんは、俺の肩を掴み体を揺すりながら、俺に話しかけていた…

「あれ?俺は…」

何がなんだかよく解らなかった…なんで…俺は…冥乃ちゃんに…

「ご飯だと呼んでも降りて来なかったので…呼びに着たら…雅春くんが倒れていて…それで…顔が白くて…怖くて…うっうう…」

そこまで話すと冥乃ちゃんは泣き出してしまった…

「大丈夫…大丈夫だよ…ちょっと、転んで…あれ?」

俺は周囲を見回した。

「どっ…どうしたんです…」

俺が周囲を見る様子に、冥乃ちゃんは、ぐずつかせながら、俺に話しかけてきた…

「いや…此処に紅い石がなかった?」

俺が意識を失う原因を作ったと思われる石が、どこにも無かった…

「さあ…私…雅春くんが…倒れていて…驚いて…お父さんたちは…勝手にご飯食べていても良いって言うし…私…私…」

ああ、また泣き出しそうに…俺は冥乃ちゃんの頭を撫でると

「いや、別になんでもないんだ〜俺ってさ〜疲れていたら急に倒れて死んだように眠る癖があってさ〜だから、親父たちも気にしねぇんだ」

俺はそう言って、冥乃ちゃんの頭から手を離すと、軽く飛び跳ねる

「雅春!!家で飛ぶなんて!!ご飯に埃が入るでしょ!!」

下から御叱りの言葉が来て…俺は、うな垂れてしまった…

「家ってさ、こんな家族なんだから、そう悲しそうな顔をしなくても良いんだ…」

俺はそう言って、出来だけ安心できるように微笑んだ

「はい…まだ二日目だから…私…まだ…皆さんのことを知らないので…」

「そんなもんだよ〜さあ、ご飯を食べに行こう!!俺は着替えている途中だから、先に行っていてくれ〜」

俺はそう言って、冥乃ちゃんを部屋から追い出した。


(あれは…夢だったのか?)

服を着ながら俺はそう思ったが…やけにリアルで…そもそも、どの辺りから俺は夢を見ていたんだ?

「痛っ…」

ふと手のひらに痛みが走り、俺は手のひらを見ると…何かを力いっぱいに握り締めて、血が出ていた…

あの紅い石を握り潰そうとしていた手だ…つまり、あれは現実?

それとも夢を見ながら自分の手を握っていた?

「落ち着け俺…あんな事…現実に起こるはずが無い!!きっと疲れて意識が飛んだんだ!!」

俺は声に出して自分にそう言い聞かせると、ご飯を食べに部屋を出ようとして…

「雅春くん!!逃げて!!」

冥乃ちゃんの悲痛な声を聞いた…次の瞬間!!

黒い大きな影が…俺の眼前を覆った…

そして…その黒い影は…俺の視界を何かで覆うと…

それが掌と気づいたときには…激痛が体を支配していた!!

あの体を失っていくときに感じたのが、心の痛みとしたら…これは肉体の痛み!!

神経を根こそぎ剥がされる…そう!!歯医者で歯に穴をあけられる痛みを三倍にして、全身に味わう…そんな痛みだ!!

体を動かそうにも、がっちりと押さえられ…関節が悲鳴を上げる!!

「待ってください!!別に私は!!」

冥乃ちゃんが、誰かに話しかけているが…相手は何も喋らない…

クソ!!親父たちが養女に迎えようと考えるくらいなんだ…何か訳ありの事情を考えるべきだったのではないのか?


いや、そんな事より…もっと、普通な事を考えろ…


普通…俺が倒れていると冥乃ちゃんから聞いて…あの二人が、大人しく食事をするなんておかしい…それに…あの埃が落ちると言った母さんの声…そして、先に下に行った冥乃ちゃん…それらが導く答えは…そして、俺は理解し…


俺は最悪の状況を想定した。


もう二人は……俺の敵かもしれない事を…


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