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27.喋る石

「痛っ…妾を乱暴に扱うな!!」

空耳じゃない…石が確かに喋っている…

俺はその非常識な出来事に、無様にも飛びのいてしまった。

「石が喋る事が驚くにしろ、このような乱暴な扱い…妾が人であった頃には、極刑ものぞ!!」

この謎の物体が…人であった頃…つまり、これは人じゃない!!

って…当たり前じゃないか…これは石の様な塊だぞ…人である筈が無いし…どこにも人の面影も無い…

「おまえ!!妾のことを人の面影が無いと思っただろう!!」

この石…どこぞのチビと同じ様な事を…さては…言われ慣れているな!!

「失礼な餓鬼じゃ…それにしても此処はどこじゃ?」

似た性格の人がいると解れば、俺の混乱は少し収まっていた。

「俺の家だけど…お前は何だ?」

まずは、この石の事を知らないと何事も始まらない

「小僧の家と言われても解るわけないじゃろ?」

前言撤回…解る事はしないほうが良い…これは石だ…

これは物で…言葉を交わす相手ではない

「なんじゃ!?妾を掴みあげて…止せ!!小僧!!窓を開けるな!!待て…まっ…」

俺は石を投げ捨てた…

「疲れているんだな…石が喋るなんて…」

窓を閉めながら、後ろを振り向くと…ことん…

足元で何かが落ちる音がして、俺は足元を見た…

「妾を投げ捨てるとは!!この小僧!!」

さっき投げ捨てたはずの石が俺の足元に転がっていた…

「予想していたが…マジウゼ…石…」

俺はその石を掴んだ…そして、次は砕こうと考えていたが…

「気安く触るな!!妾が再会を司る石と知っての無礼か!!」

その言葉に俺の手は止まった…

そう言えば、この石の伝説だと会いたい人物に出会えるという話が多々あった…

「それじゃあ…」

俺は先輩の名を呟こうとしたが…不意に脳裏に…紅い衣と…

(決して死者と再会しようと思うな…)

あの言葉が過ぎって…俺は口を閉ざした。


「なんじゃ?早く言わぬか!!」

急に俺が黙った事に痺れを切らせた石が、俺に催促してきた。

(石の癖に痺れを切らせるって…これは何だ?)

「待て…今…考えている」

生きている奴で会いたい人物…前の町の奴らは裏切り者だし…この町の友人にもすぐに会える…

そうだ…尾田…あいつに会うことが出来れば…先輩の事を何か知っているかもしれない…

そう考えたが…

「駄目じゃ!!」

いきなり断られた!?

「まだ何も言っていないのに…いきなり断るな!!」

「言っていくが、妾は初見の相手などに再会は出来んぞ!」

「初見って…あっ…」

俺は解ってしまった…

「妾は、再会を司る石ぞ!!初めての出会いなど、司ってはいない!!」

つまり、この石は、一度会った奴にしか、再会できないのだ…

「初めて会ったって…どの程度なんだ?」

だが、初見の範囲がわからないと…これは、真に理解した事にならない。

「そうじゃな…自己紹介を軽くしたような間柄なら…可能じゃ…と思う…」

「思うって…やけに自信がないな…」

そう言うと石は、なぜか屈辱を受けたような雰囲気を発し…

「それは妾を再会の石だと再び名乗らせたのは、小僧が初めてじゃからじゃ!!

しかも、小僧の場合…再会したい人物など居らぬ…」

俺の心を読めるのか?本当に…

「うむ、触れれば確実じゃが…ある程度は読めるぞ!!裏切り者に再会したくないとかのう!!

妾の凄さがわかったのなら…敬うのじゃ!!崇めるのじゃ!!恐れよ、小僧!!妾のこの偉大…ひぎゃい!?」

俺は容赦なく石を地面に叩きつけた…

「なんじゃ!!小僧!!妾を叩きつけるとは!!」

そして、予想道理に、石は吼えたが…俺には、そんな事は関係無かった…

「黙れ!!石が!!無機物の癖に、俺の心を読むな!!」

石如きに…俺の心を詠まれたのが許せなかった…


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