24.始まりの事件
「「ご馳走様!!」」
俺達は手を合わせてそう言うと、話を戻した。
「じゃあ、続きだけどね…二年位前に事件があった
その事件は、今回と関連性があるように、その事件の被害者も公園でナイフを胸に突き立てられ死んでいた…被害者の名前は霧摩司、女性」
先輩の死に方と同じだった…
「鷲見君は、霧摩君の幼馴染なんだ。そして、鷲見君が、霧摩君に最後に会った人物だったから、警察は鷲見君を疑い、世間も鷲見君を疑った。」
心無いマスコミが…先輩を犯人と掲載し…先輩は追い詰められていた…
「先輩は…そんな中を生きていたんですか…」
「そうなんだよ…まったく…愚かな記者がいたもんだよ…あんなに悲しんでいた子供を犯人だなんて…」
苦虫を噛んだ様な顔をしながら、桜庭はコーヒーを飲んだ。
「そして、鷲見君は追い詰められていき…事故で入院した…」
俺は、手に力が篭る…朽木姉…舞華…なんで支えてくれなかったんだ…
「話は戻すけど…霧摩君には、妹が一人居たんだけど…これは流石に守秘義務だから、言えないけど…その子は、霧摩君と二人暮らしで…霧摩君が死んだ後…誰かに引き取られたんだ…僕が知りたいのは、その事なんだ…君は…鷲見君から聞いていない?」
初耳だった…でも…それくらい…調べれば…
「不思議な事にね…鷲見君が入院してから…あの町に住む人は、誰もあの事件に関わろうとしなかった…いや、事件の事すら…まるで別の町で起きた事件のように…記憶が薄いんだよ…」
そんな馬鹿な…と俺は思った…普通地元で起きた事件は…簡単に忘れられるものじゃない…
「そして…その後に、また事件が起きた…尾田君が鷲見君を襲った…
なぜ、後輩であり、二人の幼馴染であった彼が…なぜあんな行為を…」
舞華たちが言ったあの事件か…後輩?俺の一つ上なら…それに…舞華たちと先輩は、まだ出会って無かったのか…
「鷲見君はその事件を、事故と主張した…眼をナイフで斬られ…片目の視力を失っても…何を守ろうとしたのか…」
片目の視力を失った?
「先輩は片目が見えなかった…?」
俺がそう呟くと…桜庭は、驚くと…
「君は知らなかったのか?じゃあ…その後…尾田君がどうなったのかも知らないの?」
俺は頷いた
「鷲見君が事故と訴えたが…結局は、精神に異常がありと診断され、精神科に行ったんだよ」
舞華も知らない情報…だけど…その次の言葉に…俺は…眼を見開いた…
「そして…鷲見君が死ぬ3日前…尾田君は精神病院を脱走した…更に…事件直前にその尾田の姿をこの町で目撃した情報も入っているんだよ…」
それは一番の容疑者と考えられる…どんな理由があるかは知らないが…一度先輩を殺そうとした男…
「君の知っていることは…その後の鷲見君みたいだね…じゃあ、僕はいろいろ情報を集めに行くけど…そうだね…一つ面白い話をしようか、鷲見君は此処で紅い石の噂を聞いたんだよ。じゃあ、お会計済ませとくから、のんびりね〜何か情報あったら、名刺にある携帯に電話をよろしく!!」桜庭はそう言って、店を出た…が…あの古い言葉を使ったウェートレスに何かを話して出て行った…