23.人外魔境…天の無い喫茶店
桜庭は店の奥の窓際の席に俺を座らせると、俺と向かい合う位置に桜庭も座った。
「メニューは其処にあるから、適当に注文してくれよ〜無論、財布の事を考えて欲しいけどね〜」
桜庭はそう言って、俺にメニューを渡す…って…なんだ!?この値段!!
俺は眼を見開いた
「やっぱり、皆、驚くんだよね〜此処のケーキや飲み物の安さ〜」
俺は頷いた…
「ケーキが百円から百五十円…ジュースも…」
味が悪いのかと俺は思ったが…
「それにさ〜味も絶品なんだよ〜」
信じられない話だった…俺は周囲の客の反応を見る…
そこで俺の目に留まったのは一つの席の客だった。
綺麗な金髪の二人の女性と黒髪の男女が楽しそうにケーキを食べていた…
「美味しいですね〜夜叉〜」
金髪の女性の一人が、黒髪の男性に話しかけた
「ああ…美味いが…そんなにバクバク食べていると太るぞ?」
男は金髪の女性にそう返事をすると…金髪のもう一人の女の子が…
「駄目だよ〜ボクが思うに、それは禁句なんだよ、だよ〜
最近体重が増えたって言っているのに、まだ食べているんだもんね〜」
そういわれた金髪の女性は…女の子に…
「何でそんな事言うんです!!違うんですよ!!別に太ったわけじゃ…女らしくなったわけで…」
怒鳴ったあと、男性に弁解をしようとするが…男性が何かを言うよりも先に、黒髪の女性が…
「腹の脂肪以外ついたようには見えないのじゃがな〜」
と火に油を注いだ…そして、取っ組み合いが始まりそうになった所を、店員に店先でやるように言われ、店先に出て行った…
俺は、それを呆然と見ていた
「あっはは、此処のケーキは、まさに魔性に一品だよ」
同じ様に一部始終を見ていた桜庭もそう言った…
「とりあえず、お勧めはチョコケーキだね」
俺はそのお勧めを頼んだ。
「ここは…変わった所だな…」
俺はまた周囲を見ながら、そう言うと…
「まあ、店長からして、いろいろとね〜オカルトとかにも詳しかったり…君の所の町の都市伝説もよく知っているよ」
俺のところの都市伝説…それは…紅い石の事だろうか?
「亡くなった鷲見君も此処をよく利用していたよ」
俺は桜庭の顔を見た…
「そもそも、僕も鷲見君の友人と言うわけじゃないけど…君と同じ様に取材をした事があってね」
「取材って…尾田の事件か?」
二人に聞いたあの事件で取材したのかと思ったが…その答えは違った…
「そのときも取材したけど…その前の事件だよ。霧摩司の事件だよ」
きりま…つかさ…。
それは、先輩のノートに書かれた名前…
「まあ…もう二年以上前の話だから…世間の人は気にしてないみたいだけど…
今回と同じ様な殺人事件があったんだよ」
俺はその事件を詳しく聞こうと思ったが…
「ご注文の品をお持ちしました〜」
持ってこられたケーキで、話は打ち切られた…
「さあ、食べてみたまえ!僕のお気に入りの一品を!!」
そして、更に話を言ってくれる雰囲気では無かった…
無論、俺はそのケーキの美味さに病みつきになった!!
「どうだい!!チョコケーキなのに上に苺がのっていて…それなのに、チョコの甘さに合うなんて!!これぞ至高の極み!」
そして、男二人夢中でケーキを食べていた…