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21.あの名前

霧摩きりま つかさ

尾田おだ 史一ふみかず

俺はこの名前を思い出した。

先輩のノートの書かれていたこの二人の名前…

舞華と朽木姉はその二人を知っているのだろうか?

俺は二人に聞く事にした。

「あのさ…霧摩司…もしくは、尾田史一って…しっ…知らないか?」

二人の顔色が…微妙に変化した…が…それを取り繕うように、

「う〜ん…ボクは…霧摩って人は知らないな〜舞華は、知ってる?」

「私も…史一なら知っているが…霧摩…は…知らない…」

さっきの反応を考えると信じていいのか、俺にはわからなかった…

だが…一人は知っているんだ…

「舞華、尾田って…どんな奴なんだ?」

俺は、舞華にそう聞いたが、舞華だけに聞いてしまって、またいままでのパターンになると思ったが、なぜか、朽木姉は口をださなかった。

「何から説明したら良いか…とりあえず…あまり私も知らないんだが…」

尾田史一…18歳、俺よりも一歳年上で…先輩と同じ3年になる予定だった奴

過去形なのは、もうこの学校に居ないかららしい。

その理由は、喧嘩で退学…そして…なにより…一番驚いたのは…その喧嘩の相手が…

「先輩と喧嘩をして…退学…」

「ああ、ただの喧嘩ならそんな重い処罰にはならなかった…だが、その喧嘩は…実際に私は見ていたわけではないが…」

舞華が言い難そうに、朽木姉を見る

「わかった、僕から言うよ…そもそも、この喧嘩が、ボクと連子が親しくなった、きっかけなんだからな」

きっかけ?

「あの喧嘩は…尾田の奴が、いや…喧嘩と呼べるものじゃなかった…ボクがあの場所に居なかったら…連子はそのときに死んでいたのかもしれない」

俺は眼を見開いた

「尾田は、刃物で連子を刺そうとした…いや殺そうとしたんだ」

「はぁ!?刃物で!!そんな話し初めて聞い…」

そう言えば…初めて会った時…迷惑がかかるって…そう言う意味だったのか?

自分が関わった事件で…変な目で見られることを…

「ボクが刃物を奪ったけど…連子は…手足から血が流れていた…」

確かに、先輩は…傷だらけだったが…そんな理由が…あったなんて…

「その事件の後からかな…連子が学ランを着始めたのって…それまで、連子もボクたちと同じこの服を着ていたんだよ…でも、この服は、手足の怪我が目立ってしまう…だから…」

だから、先輩は…学ランを着ていたのか…

「尾田って奴は…警察に連れて行かれたのか?」

「いや…連子は、訴えなかった…事故だと言い張ったんだ…警察も被害者がそう言い張ったら…強く出られなかった…だけど、学校はそうはいかなかった…」

俺は…何も言えなかった

「連子がお前をボクの家に連れてきたのは、自分もリハビリをしていたから…

お前にも出来ると思ったんだろう…

尾田は事件の後、精神病院に入院して…そのあとは知らない」

朽木姉がそう言った直後…午後の授業の予鈴が鳴った…

俺は…二人に何も言えず…教室へ歩き出した…


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