1.出会いと別れと
見つからない…見つからない…愛しい人が、大切な人が見つからなかった
私の事を愛してくれて、私も愛したあの人、私はあの人に会いたい
私はあの人と共に居たい、あの人の為に、あの人と私の為に、
その為に私は探す、再び廻り会える筈だから…
そう願い続けながら、私はあの人を探す…自分の足で探していたが、いつしか足を失い、足が使えないのなら、私は手を使い這いながら、探す…
だけど、指を失い、手を失い、腕も失った…それでも諦めなかった…
だけど、私の体は失っていく…胴も失せ、頭だけになっても…私は探し続けた…
いや、もう動けない私は、この世に在り続ける事にした…
いつしか、あの人が、私を見つけてくれると信じて…その場で石になることを決めた…
あの人に廻り会う為に…私は今も待ち続ける…物も言わぬ石になり、あの人を探す為に
私は、今も求め動く、私と同じ悲しみを持つ者を助けながら…いつしかあの人に出会う為に…
本来、恋人の居ない先輩…鷲見 連子先輩が、見せてくれた日記に書いてあった、再び会う石の話
先輩は自分に物語を作る才能があるんじゃないかと思って、文系になったけど、
ほぼ体育会系のバリバリのスポーツマンだ。
結局この先輩は、この作品の書かれたノートを俺に託して、有名スポーツ校へ、
特待生で進学し行く筈だった。
別れ際に先輩がこのノートをくれた時変な事を言っていた
「月影 雅春お前に、この本を進呈しよう!!
まあ、俺が書いて本の原稿のネタ帳だけど、この話を書いているときは、恋人はいなかったけどさ…いつか俺にもこんな気持ちになれるような人がいるんじゃないかって…
人生は、まだ先があるんだ、だからさ、オレはその先を見ようと思うんだ」
まだ、人生は先があるって、確かに、そうだ
俺も、まだ未来がある……先のわからない未来が…
「だから、お前も頑張れよ」
先輩はそう言うと、俺の肩を二、三回叩き、
「恋人が居ないオレのような悲しい青春を送らないように、精一杯生きろよ」
そのときの先輩の顔は、とても眩しくて、晴れ渡っていた。
数日後…先輩は死んでしまった。
公園の中央で心の蔵にナイフを突き立てられ…死んでいた……