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16.手がかり

俺は教室に入って早々、机に倒れ伏せた…

みやびだらしないな、そんな風に倒れるなんて」

机に倒れた俺に…話しかける人物がいた…っていうか、みやびって呼ぶな!!と思ったが…その声は、物静かな声で、それでいてよく透き通る声だ…


俺をみやびと呼ぶ人物は、この学校に一人か二人しかいない…

だから…

「舞華か…」俺はすぐにその人物がわかった

学校で有名な朽木シスターズと呼ばれる双子の片割れだ


俺は見上げるように、舞華の顔を見る

身長180…(俺は175)俺よりも背の高い妹の朽木舞華くちき まいか

スタイルも良く頭も良い…が、人付き合いの苦手な奴だ…

普通にしていたら、もてるだろうが…当の本人は、色恋沙汰には、興味が無いらしい。

だが、そんな情報は、今は関係ない。


「別に良いだろう…俺は疲れてんだ…」

机に倒れ伏せたまま、話す相手じゃない…首が痛くなって、俺は机にうつ伏せになる。

「鷲見先輩の事か…」

そう舞華は呟く…舞華も、先輩の友人で…紹介された子で…やはり先輩と同じ様に…少し人から距離を取る様な態度だったが…今は、普通に接してくれる。

「別に…そんなんじゃない…疲れているんだ…休ませてくれよ…」

本当は舞華も寂しいんだろうが…悲しいだろうが…

それでも俺を心配してくれる彼女に、迷惑はかけられないと俺は思っていた…

だから…これ以上…負担をかけたくなかった…


だから、このまま、黙り込もうとしたが…

「そんなに、ウジウジしてたら、ボクが迷惑なんだよ!!」

五月蝿いのが来た…

「なんだ!?お前は隣のクラスだろう?なんで、俺がお前の迷惑になるんだ?」

その五月蝿いのは、舞華の双子の姉、俺は視線を下げて朽木姉を見た…

「見下すのは止めろ!!ボクは上から見下されるのが大嫌いなんだ!!」

俺は…この小さい奴が…苦手だ…

朽木姉…朽木刹那くちき せつな

身長は145センチ…スタイルは…樽…じゃなくて、土管…

小さくても口喧しく…舞華と違って…喧嘩腰で、成績も中の下…むしろ…上の上の舞華に教わらなければ、下の下だろう

「こぉらぁ!!今、失礼な事考えただろう!!また、ボクの事をチビとかバカとか!!」

ちっ、やけに勘が鋭い小動物だ…

「今…チッって…チッ、言った!!酷いよ!!この外道!!」

「言ってないし、俺はそんな事もしてない!」

心の中で言ったかもしれないが…現実ではしていない。

「嘘だ!!ボクを見下しているんだ!!いつも、おまえは、ボクをチビだって…土管だって…そう思っているんだ!!」

そう言いながら、朽木姉は、俺の脚を蹴ってくる…

まあ、小さい攻撃だから、痛くはないけど…

こいつは確実に急所を蹴りつけていたのは、俺は知っている…

これだから…道場の娘は…要らない事に技を使うんだ…

俺は、打点をづらしながら、ある程度蹴りを受けて…とりあえず…舞華を見るが…

朽木姉がやって来た事により、周囲の視線が気になってそれどころではない…らしい…


仕方ない…あまり使いたくないが…あの方法で行くか…

母さんが…ここ一番に使えと言われた…対朽木姉用の技を…


俺は、蹴りを受けながら、立ち上がると…

朽木姉は、ビクッと小動物のように身を縮ませる…

そして…俺は朽木姉の頭に手を伸ばそうとすると、朽木姉は殴られると思って眼をつぶる…

俺は、腰を屈めると、その頭を撫でた。

朽木姉が眼を見開き、さらに俺が視線を合わせている事に驚いていた…

「そんな事は無い…俺は、お前の事を可愛いと思っている(黙っていればな)」

そう言うと、朽木姉は顔を真っ赤にして…俺の腕を叩き、距離を取った後…

「あっ…当たり前だ!!ボクは可愛いんだから!!今頃気づいても遅いんだぞ!!ばーか、バ〜カ!!」

そう指をさしながら言った後…舞華姉は走り去ってしまった…


恐るべき母さんの技…だけど…なんでそんな対象者を限定した技を教えたんだ?

格闘術や尾行術とか、戦闘系の術は親父が教えてくれたけど…こんな訳のわからない分野の口説き文句?は、母さんが教えるが…よくわからないな…


まあ、これでゆっくり休める…そう思ったが…

「雅…お前…そうか…そうだったのか…」

傍に居た舞華が…青い顔でそんな事を言って…席に戻っていったが…

周囲の人間の反応が…ものすごく微妙な感じがした…

(もつれ…しまい…さんかく…ろり…ふたまた)

変なざわめきの中…俺は…眠る事を最優先させた…。




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