13.夜の月に誘われて
何のあてもなく…外を歩いた…
ただ…月が紅かったから…外に出たが…
肌寒い…やはり二月の夜は寒い…まだ、雪は降っていないが…雨が降れば、確実に雪だろう…
俺は、壁に身を寄せ…周囲を警戒する…
先輩を殺した犯人がまだいるかもしれない…殺人事件が起きたこんな夜に…
他に人がいる気配がした…
もし…こんな日に外にいるとしたら…それは…犯人か…
俺は身を潜め…気配を隠し…近づいてくる気配に集中する…
そして…そいつは…俺の視界に入った…
そいつらは、二人組みで…黒いに黒い帽子を着ていた…そう…警察だ…
警棒を片手に、周囲を警戒しながら歩いていた…
きっと、犯人を捜しているのだろう…
もし、見つかれば…犯人扱いされ補導される…だから、俺は息を殺して警察が通り過ぎるのを待っていたが…俺の耳に…信じられない話が聞こえた…
それは…警察の話…
「なあ…この事件って…やっぱり…2年か3年くらい前の…あの事件か?」
「2、3年前?その時まだ、本官は居なかったのでありますです!」
「そうだっけ?まあ…良いか…」
「どんな事件だったでありますか?本官は、非常に興味がありますです!」
俺もあった…このまま警官が去るのを見ていようと思ったが…
もし…先輩の事件に関係しているのなら…俺に何か出来る事があるかもしれない…
俺はそう思い…警官の後を尾行した…
「その事件だが…今回と同じ様に…あの公園で人が死んだんだよ…ナイフで胸を刺された状態でな…」
「今回の事件と同じでありますです!本官これは…もう事件の関連性がばりばりしますです!」
「そうだろう?模様犯と言う考えもあるんだがな…」
「それで、その事件の犯人はどうなったです?」
「その犯人か?実はな…」
急に警官が声を潜め、相方の警官もそれに耳をかたむけるように顔を近づける…
良い所で…声を小さくしやがって…俺はそう思い、ゆっくりと距離を詰める…
そして…
「まだ何もわかってないんだ!!犯人も捕まってないだな〜!!」
急に警官が大声でそう怒鳴って…俺は驚いて飛びのいた時に、足音をたててしまった
「誰です!!」相方の警官が、俺の隠れている方向を振り返る!!
ヤバイと俺は思った…捕まったら…職務質問…いや…補導だ!!俺はすぐに逃げようと思ったが…
「誰だ!!急に大声を出しやがって!!時間を考えろ!!」
俺の隠れていた方から、怒鳴り声がした…近所の住人のようだ
「やべぇ!!時間を考えて無かった!!逃げるぞ!!」
近所の住人に怒鳴られ…警官の先輩が走って逃げ出す!!
「待って欲しいのでありますです!!」
そして、こちらを警戒していた相方の警官も走って逃げ出した…
俺はそっと息を吐いた…
「助かった…あの程度で驚くなんて…親父の言うとおりだったな…」
せっかく覚えた技術を腐らせたら、必要なときに役に立たないなんて…
「だけど…先輩のような殺人事件は…前にも遭ったって…これに関連しているかを調べたら…犯人が…わかるかもしれない…」
知らない間に拳に力が篭る…
「先輩…俺…探しても良いですよね…先輩を殺した奴を探しても…」
だけど…俺は…先輩を殺した奴を見つけて…何をしようとしたか…わからない…
だけど…それでも…俺は…先輩を殺した奴を探して…何かをしたかった…
たぶん、俺は話を聞きたかったのかもしれない…なぜ先輩を殺したのかを…