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0.無名の都市伝説

0.無名の都市伝説

この町では、一つの都市伝説がある

それは、怖いものではなく、愛に関する物語…

伝説と言っても、噂話程度の知名度しかない…

その話とは、ある場所で、ハート型の石を見つけたら、失った恋人に出会えると言う

原型は、いろいろな説がある。

例えば、その土地の企業の陰謀(観光客狙い)

例えば、バカップルの噂話

例えば、魔女の作った反魂石など、

くだらないものが、原型と言われている…

馬鹿馬鹿しい…恋人に出会える石など、そんな石があれば…

間違いなく、その石は俺の願いを叶える事は出来ないだろう…

なぜなら…俺の恋人は死んでいるからだ…

しかし、失った意味が、失恋ととらえるなら、

だが、俺は、その石に興味を示した…もしかしたらと…一目でも彼女に…

だがすぐに笑って、自分の考えを嘆き、俺は、その事を忘れようとするが…

だけど…俺は…その石を探そうと考えてしまう…

そして、あの日…夕日の中で…俺は…ハート型の紅い石を見つけた…

そこは、ただの鉄橋の上…いつもなら、もう少し人通りもあるはずなのに、

この逢瀬の時間…誰も人が居ない…車も通らない…

まるで、世界に俺一人が居ると考えてしまうような…幻想…


俺は、その石を拾った…


辺りを見回す…何も居ない…誰も人が居ない


ああ、やっぱり、ただのデマっと言うよりも、そんな話を信じた俺が馬鹿か…

俺は石を川へ投げ捨て、涙を零す…もう彼女の為に泣くのはこれで最後にしよう…


俺は、涙を拭き、鉄橋を渡りだそうとした時、鉄橋の真ん中辺りに濃い霧が…出来ていた。


とても濃い霧で端の向こうが見えない…


なんだ!?夕方に霧?って言うか…そんな部分的に出来るものなのだろうか?


その霧の向こうから…誰かの足音が聞こえた…


そして、その霧から…顔が現れる…それは…


忘れもしない…大切な人…俺は喜び、その人に近づく!!


ああ…本当に在ったんだ!!あの伝説は!!俺は、両手を上げて…


後もう少しで…抱きしめることが出来ると…そのとき…ふと、気づく…


霧の向こうの夕日がうつすシルエットに…それは…


その人は、何かを振り上げている体勢…疑問になって、立ち止まった俺の目の前を・・


何かがすり抜けた…・それは…斧…


その人は、俺に笑いかけながら、霧の中から姿を現した…


あの死んだ日に来ていた服装…右手には…斧…で、俺を…見ている・・


何かを呟いている…いっ…に…こう


一…しょ…いこう…一緒に逝こう!!



その人が斧を振り上げる!!


逃げろと心が訴えるのに…体が動かない…


死ぬ…俺は死ぬ!!!


俺の頭に…彼女との思い出が…流れる…


出会い…勘違い…喧嘩…仲直り…最後の電話…

最初で最後のデート…


俺は、優しく微笑み、その斧を抱きしめるように…両手を広げる…


大好きだよ…・そう呟きながら…俺は…斧を振り下ろす彼女を見た…

その顔は…泣きながら…笑っていた…俺の頭に斧がめり込む…

意識が暗くなる…俺は彼女に連れて逝かれるのか?

もし本当に、そうなら…それはなんて、素晴らしい事なんだろう…

もう俺たちは、離れる事のない存在になれるのだから…

だけど、そんなことを考えていた俺の耳に聞こえたのは…あまりにも残酷な一言だった


…私を忘れて…生きてよ…私は、貴方の思い出を連れて逝きます…


嫌だ…忘れたくない!!

俺は…何かを掴もうと…手を伸ばした…・



眼が覚めると、そこは病院だった…どうやら俺は、鉄橋で足を滑らせ、車道に出てしまい、

車に跳ねられたらしい…が、運転手が、あまり速度をだしてなかったらしく、

俺の傷は軽傷だった。が、頭を強く打ったせいで、検査入院だ。

ただ、おかしいことがあるとすれば、俺の体についていた血だろう…

服に血が付いていたのだが外傷は無し、打撲はあるが、切り傷は無い…

気を失っている間、俺は、何か夢を見ていた気がするが、思い出せない…

ただ覚えていることは、あの石の伝説…彼女の居ない俺が何で知っているんだ?

と考えてしまうくらいに、調べた記憶…

そして、泣いている誰か知らない人の顔…だけど…

その顔は、まるで霧が消えるように薄れていく…そして…霧は消えた…


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