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見習い魔法剣士の英雄譚  作者: 清水 悠燈
魔法界変革編
10/66

-一時休戦-

 

「なんだこれ……」

「これは……やばいな……」


 悠斗とセナが辿り着いた場所にあったのは、大量の鎖の破片と血痕、ふたりの少女だった。

 セナがベルの元へ駆けつけ、生死を確認する。

 脈はあるし息もしている。気を失っているだけのようだ。


「おいセナ……ッ!」

「なんだよ悠斗」

「こいつ日向じゃねぇかッ?!」

「なッ! ほんとだ……日向だ……」


 悠斗が駆けつけた先にいた少女は、連れ去られたはずの日向。

 日向とベルが交戦した結果、相討ちになったのだろうか。

 日向の脈と呼吸も確認したが何の問題もない。


「よかった……無事で……!」

「悠斗、早いうち撤収するぞ。ここは危険だ……!」

「あ、あぁ! 帰りのインスタント、ほれッ!」

「サンキュー! 『ループ』ッ!」


 真下に展開された魔法陣が強く輝き、視界が真っ白に染まる。




 ───────────────────────



 目の前に広がっていたのは見慣れた景色。

 フラムの隠れ家だ。


「無事に帰ってきたな、悠斗、セナ、ベル」


 目の前には恐ろしい笑みを浮かべたフラムが立っていた。

 その近くにあったベッドには鎖で手足を縛り上げられた響也が眠っている。


「し、師匠ー! こ、これには訳が……」

「言い訳なんて聞くと思ってるのかこの阿呆!」

「ひ、ひぃぃ」

「お前ら全員、しばらく隠れ家にいろ! 修行も禁止だ!」

「「そ、そんなバカな!?」」


 セナと悠斗が涙目で地面をバンバン叩く。

 ベルはシュンとした顔でフラムのお説教を受けていた。

 何がともあれ、全員無事に帰って来れたようだ。

 あれ……誰か一人足りない……


「フラム! 凜華は!?」

「凜華……凜華……?」

「え、フラムお前……」


 もうひとりのメイドである凜華の姿が無かった。

 それをフラムに問いただしたが、知らないような反応を返される。

 まさか……まさかな……


「おう。そのまさかだ。冗談だよ冗談!」

「なッ!? フラムてめぇッ!」

「アハハハハッ! 最高の反応だよセナ! 凜華なら自室で寝てるぞ!」

「後で絶対仕返ししてやる……」


 騙された。

 こっちはそういう仲間の命に関わる事に敏感な状態なのに……

 ベルも悠斗も苦笑いを浮かべるしかないようだ。


「まあそう怒るな。今夜は疲れたお前らにとっておきの飯を作ってやる!」

「「おっしゃーッ!」」


 だが、食べ物の前では丸く収められるのが俺たちらしい。



 食事を終え、全員入浴を済ましリビングに集まる。

 今回の件についての話し合いだ。

 メンバーはフラム、セナ、悠斗、ベル、凜華、そして響也。

 目を覚ました響也は平常を保っており、なんら害はない。

 保険として『魔封じ』のお札(これもフラムの古代魔法)で魔法はおろか、魔力を起こすことも出来ない状態にいる。


「ふむ……私の『インスタント』に細工か……」

「あぁ。病院に飛ぶはずだったんだけどな……」

「それだよ。エレナの所属する《背理教会》とやらは随分大きな勢力らしい」

「背理……教会……」


 今回の戦闘の発端となった『インスタント』。

 材料から全てフラムの手作りで細工のしようなんて無かったはずなのだが……

 可能性としては新しい魔法か。

 それとも何者かが入れ替えたのか。

 それにしても《背理教会》は謎が多い。

 エレナがリーダーなのか。違うのなら更に強い魔法使いが上にいるということだ。

 それは流石にまずい。

 付け加えて謎の技術を多数所持している。

 とても数人で勝てる相手ではないような……


「そう恐れることはないさ。相手がいくら大きい勢力と言ったって、個々の能力は大差ない。私にかかれば瞬殺さ」

「いくらフラムでもな……今回は撤退してきたんじゃないのか?」

「いや、背理教会に関連があると証拠があった施設を全部燃やしてきた」

「お、おう……」


 もしかしたらいけるかもしれない。

 フラムが破格すぎる。

 悠斗もベルも凜華も目がジト目だ。

 大体察したらしい。

 響也だけが不思議げにしているが無理もないだろう。

 なんていったって人間界(アッチ)の人間だ。

 魔法の知識がある方が異常であろう。


「とまあ、この話はこれ以上進めても埒が明かないだろう。それよりも、ベルからお前達に話さなければならないことがあるそうだ。ベル、好きに話すといい」

「はい、ありがとうございますフラム様」


 突然そう言ったフラムは立ち上がったベルを指さした。

 ベルの目は普段の優しい雰囲気とは違い、真面目な雰囲気を纏っている。

 全員が不安に思っている中、ベルは口を開いた。


「みなさんにお話ししたいのは、私の……ことについてです……」

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