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依存症

作者: 福宮薫

スマホを手に取り、私はいつものページを開く。

「えーと、今日の運勢は………うん、全体的にまあまあだな。信じよっと」

私は毎日占いを見る。

しかし良いことしか信じない。

悪いことはすべてスルー。

だけど、占いを見ない日はない。

私がこんなことになった理由は…。


(ねえ、占いって信じる?)


(………それは良いときだけ信じればいいんだよ)




依存症




部活が終わり、私は学校の屋上に上がる。

寝転がり、オレンジ色に染まっている空を見上げた。

ポケットからスマホを取り出すと、今日の私とあいつの相性を占った。

「ふーん…今日は積極的に動けば良くなるんだ。よし、じゃあ久しぶりにあいつにメッセージでも送ろうかな」

メッセージアプリを起動し、あいつのために文章を打つ。

【久しぶり!最近どう?元気にしてる?】

よくする動作であるというのに、私の指先はわずかに震えた。

それは、私がまだ期待を捨てられず、そして恐怖も捨てられないからだろう。

そしてもちろん毎回裏切られるのは期待の方。

(…ああ、やっぱり)

すぐに既読はついた。

だが、返信はこない。

(相変わらずスルー、か)

期待した私が馬鹿だった。

毎回毎回裏切られることは理解できている。

でも、どうしても諦められない。

「良いことは信じればいいって言ったのは、君の方なのに」

馬鹿という言葉は、闇に沈んでいく世界でとても弱々しく響いた。





今日もまた、私は占いに頼る。

新たな無料の占いアプリをダウンロードし、相性を占う。

「だって…」

もうこれ以外、すがるものがないのだもの。

私はスマホを握りしめる。

はたして、私は占い依存症?

それとも………?

冷たく無機質なスマホの通知音が鳴ることは、今日もない。




──私は今日も過去の君に救われ、今の君に堕とされる。

君への依存は、きっと明日も続くのだろう。

窓から星が光る空を見上げ、私は手を伸ばした。

決してつかめない星をつかむために。

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