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宵闇に建つ光の柱

 日が沈んで夜になり、恭一とルキエナは自宅近くの公園にやってきた。


 「ここでいいのか?」


 「はい」


 「そういえばルキエナと最初にであったのもこの公園だったよな」


 恭一はルキエナが倒れていた場所に目を向ける


 「あの時声をかけたら『もうどうでもいいよ』って言葉が返ってきてびっくりしたよ」


 「フフ、恥ずかしいから言わないでください」


 ルキエナが苦笑いする。


 「それじゃあ開きます」


 ルキエナが右手を前出して神力を行使すると、その先に光の柱が出現した。

 光の柱から白い着物を着た銀髪の幼女が出てくる。


 「ルキエナ、迎えに来たぞ」


 「わざわざありがとうございます。ウアルフェ様」


 ルキエナがウアルフェの元に近寄る。

 ルキエナの後ろ姿を見ながら恭一は、


 (ダメだ! 行かないでくれ!)


 と叫びそうになるのを必死に我慢した。

 ルキエナとウアルフェが並んで恭一の方を向く。


 「恭一、お主にも苦労をかけたな」


 ウアルフェが労いの言葉をかけてきた。


 「それじゃあ一つ、ご褒美をくれないか?」


 「何じゃ? 言うてみよ」


 「ルキエナと俺が過ごした記憶、そのままにしてくれないか?」

 

 恭一の願いを聞いて、ルキエナとウアルフェが顔を見合わせた。


 「お主とルキエナはもう会えないがそれでもいいのか? 憶えていても辛くなるだけかもしれんぞ?」


 ウアルフェが不思議そうに首を傾げて恭一に尋ねる。


 「ああ、忘れたくないんだ。ルキエナと一緒に過ごしたことを無かった事にしたくないんだよ。頼む!」


 恭一が頭を下げてウアルフェに頼み込む。


 「よかろう。お主は頑張ってくれたしその程度の願いなら叶えてやろう。お主以外のルキエナに関わった者達の記憶は書き換えるが、お主だけは元のままにしておく。ただし他言無用だぞ?」


 「ああ、わかってる。ありがとう」


 恭一は深く頭を下げてウアルフェに感謝した。


 「恭一さん、本当にお世話になりました」


 「こちらこそ、色々と振り回されたけど楽しい日々だったよ。ありがとな」


 恭一とルキエナが見つめ合う。


 「ルキエナ……」


 ウアルフェが恭一を見つめたままのルキエナにそっと声をかける。


 「はい、ウアルフェ様……恭一さん、お別れです……さようなら」


 「ああ、さようならルキエナ」


 恭一とルキエナが別れを交わす。


 ルキエナが光の柱に入っていく。


 「それではのう、恭一。達者でな」


 ウアルフェもルキエナの後に続いて光の柱に入っていった。

 二人が光の柱に入ると、どんどん柱が小さくなっていく。

 恭一とルキエナは互いに笑顔で手を振り続け、やがて光の柱は完全に消えてしまい、ルキエナとウアルフェも居なくなってしまった。

 恭一は振っていた手を下ろし夜空を見上げる。

 空には青白い月が浮かんでいた。


 「ルキエナ、俺笑って見送れたよな?」


 見上げていた月が滲んでくる。

 恭一はこらえきれなくなった涙を手で拭いながら空を見上げ続けた。

お読みいただきありがとうございます。

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