お父さんの手伝い
お待たせしました!本日は一話のみの投稿となります!
次の日ーーー。
俺とお父さんは山へ竹を取りにーーーじゃなくて農作業をやりに一緒に畑に行った。
「いやぁ、昨日はすまんな、コウジ!はは!」
「全くだよ!ほんとに死ぬかと思ったんだよ!」
昨日の夜はほんとに撃沈しました……。
それにしても結構な距離を歩いている。
「それにしてもコウジが農作業手伝うなんてどんな風の吹き回しだ?」
「べ、別に…」
手伝ってやりたかったなんて恥ずかしくて言えないな。
「お、見えてきたぞ!」
「うわっ!すごっ!」
俺の眼前に広がっていた景色は、それはまた壮大であった。上にはどこまでも澄んだ青空が広がっていて、また、正面を見続けると、思わず吸い込まれてしまいそうな、そんな長いひまわり畑の一本道が続いている。左右を見ると、俺の身長をも遥かに越えるようなひまわりが、そよ風に吹かれ、サラサラと歌を奏でているかのように揺れている。
「どうだ!すごいだろう?俺の自慢の畑だ」
「うん!すごい!」
これは本当に他人に自慢できるほどだ。
「今日はまた、あたらしくひまわりを追加しようと思ってな。それで、畑を耕そうと思う」
「そうか。なら俺は何をすればいいんだ?」
「見てるだけでいいぞ」
「うん!...え?」
目的の畑の場所につくと、荒れ果てて、一人で耕すのが無理なほど広がっていた。
「お父さん、やっぱ俺もーーー」
「大丈夫だ!まぁ、見てなって」
お父さんは畑の真ん中まで行き、そこに静かにしゃがんだ。そして右手を地面につける。何をする気だ。
『耕作』
そうつぶやき、地面をピンッと弾く。
地面が揺れ始める。
「ちょっ、な、なんだなんだ!?うぉっ!」
だんだんと揺れが大きくなり、お父さんのいた畑が……爆発した。
ドガァァァァァァァァァァン!!!
すごい土煙がたつ。
「え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
お父さぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!何してんの!?自滅しちゃった!?
昨日の夜ご飯がまずかったからってそんな...
そんなことで...嘘だろ。
やがて土煙が解けると、そこには、一面が耕された畑が、広がっていた。
いやいや、あんた魔法が使えなかったんじゃなかったのか!?ただのピンッであぁもなるものなのか!?デコピンなんてされた日には……死ぬな。というかお父さんは!?
お父さんは...立っていた。頭がアフロになっていて。
何自分もダメージくらっちゃってんだよ!大丈夫なのか?
「お父さん!大丈夫なの?」
トントン、と肩を叩くと、そのまま畑に倒れた。
気絶してました。
何やってんの!?お父さん!!
あれ、周りに人が集まってきた。なんだなんだ!?
さっきの爆発のことか!?
「あーあ、またやっちまったんだなケンジさん」
「全くだよ、このアホったれ」
「鼻くそ小僧がまたやりおったな」
お父さん、すげー罵声浴びちゃってるよ!?
「あ、そういえばあんた息子かい?」
唐突に聞かれたから、びっくりした。
「あ、はい!そうですけど...」
「そうなのかい...」
え、ちょっと!?なにそのみんなの俺を哀れむ目は!?すごく痛々しいよ!
「す、すみません。うちの父がいつも」
「いやいや、大丈夫じゃ。このひまわりをみるだけでわしらは元気が出るんじゃ」
「そうですか。それはよかったです!」
良かったな!お父さん!
「ただ...」
「ただ...?」
「その爆発で山の上で寝ていたイノブーを怒らせてしまってのぉ」
イノブーーーー!!そう言う事だったのか!
なんかすみません!とりあえずお前の命ありがたく頂くぜとかいっちゃってすみません!
「おかげで1人骨折してしもうたくらいじゃ」
おぃぃぃ!!お父さん加害者になっちゃってるよ!?
「す、すみません」
はぁ...。ったくお父さん何しちゃってんの!?
「このアホったれに言っといてくれ。バカタレが。ここまでしたからには、いいひまわりを見せろ、でないと許さんぞ、とな」
「あ...はい!」
なんだかんだ言って優しいんだな。ここの人達は。この世界も悪くないもんだ。
さ、気絶してるお父さんを持って帰るか。
俺はお父さんを持ち上げようとしたが持ち上がらない。
「重っ!!」
するとさっきの人ごみの中の一人が、
「どれ、私が持って帰ってやるよ」
ひょい、と軽く肩に担ぐとそのまま歩き出した。
すげぇよ!なんて力してんだ!いや、ひょいじゃねぇよ!スゲェ重いんだけど!
「何してんだい!はやくこの国の警備隊がくるまえにズラかるよ」
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?
やばいよ!犯罪犯しちゃってるじゃん!
ズラかるってもうあれじゃん!悪いことしちゃってますアピールしまくりだよね!?
そして、家まで走ろうとすると、警備隊が来た。
「あいつらを逃がすな!」
やばいよ!なんでこんなにみんな足が速いんだ!?追いつかれるぞ!
あ、俺……スピード-4でしたー。
「まったく、親も親なら子も子だよ」
そう言って俺を抱え、全速力で走る。
「にぎゃあああああああ!!」
まるで高速道路を車に巻きつけられて走ってる感覚である。
「死ぬぅぅぅぅぅぅ!!!」
その後ーーー。
警備隊をなんとか振り払い、家に着いた俺とお父さんは、お母さんから多大な説教をもらいました。
まったく。すごい一日だった。しかし、こんな日が続くのもまた悪くないと思うコウジであった。
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