ー6ー
暫くスライム(仮)が燃えているのをボーッと見ていた大助だったが、ふと、我に返ると大変な事に気がついた。
(この炎……どうやって消そう……)
炎はかなり広範囲まで広がっている。消そうにも、大助には消す術がない。
「ヤバい……よね?」
大助は誰に聞くとはなしに呟いた。その間にも、炎は辺りを燃やし続けている。スライム(仮)は燃え尽きたのか姿が見えない。
「えっと……これってヤバいよね?」
大助は後退りしながら、また呟いた。
ーヤバいねぇ。
「(!!!!!!)」
真後ろから声がして大助は硬直した。
大助はゆっくりと後ろを振り返ったが誰もいない。
ーヤバいねぇ……このままじゃ。
「だっ、誰だっ!!」
大助は声のした方に向けて叫んだ。姿は見えな……が、確かに声はする。
大助は辺りを見回した。草木が燃えて煙が広がっているが、それほど視界は悪くない。しかし、声の主は見つからない。
ーとりあえず、消しとくかねぇ。[……ウォータ・ウォール]
「……は?」
大助は自分の目を疑った。
目の前に水の壁が表れ、燃え広がった草木へ進んでいく。壁が通った場所の炎は消えていた。水の壁
はスライム(仮)がいた辺りまで進み、突然砕けた。
ーバシャァァァァァァン
燃え広がっていた炎は一気に消え、黒焦げた草木と丸い玉、それと濡れて月の光を浴び光るzippoライターが落ちていた。