ー5ー
大助はゆっくり右手に持ったzippoライターの火をを、スライム(仮)に見せた。スライム(仮)はプルプル震えながら火を見ているようだ。
向かい合う2人……と、次の瞬間!
バシッ!!
「いってぇぇぇっ!!」
スライム(仮)の一部が、まるで鞭のように伸びて、大助の右手を叩いた。
その拍子に、大助はzippoライターを落としてしまった。
「ヤバいヤバいヤバいヤバい!!」
大助は右手を押さえながら、慌てて後ずさった。ジンジンと痛み、赤く腫れ上がった右手。
武器になるような物もなく、大助はガタガタと震えながら涙した。
(もうダメだ……死にたくないよっ)
大助はしゃがみこみ、きつく目を閉じた。
(きっと俺はあのスライム(仮)に食べられるんだ。頭から覆い被られて、溶かされて……)
ーパチパチパチッ
(そう、パチパチパチッて……パチパチパチッ???)
大助は不思議な音に気づき、薄目を開けた。
ーパチパチパチパチッ
音のする方を見ると、zippoライターが見えた。ライターの火をが落ちた側の草や枝に燃え移っていた。
その時、いきなり強い風か吹いた。
ーゴォーーーッ
草や枝に燃え移った火が、勢いよく燃え広がり辺りが炎に包まれた。
「うわっ!!」
大助は慌てて立ち上がり、炎から逃げるように後ろへ下がった。
炎は風に煽られて、スライム(仮)へ向かっていく。スライム(仮)も逃げようと後ろへ跳ねるが、炎の方が速かった。
キャアアアアアッ
スライム(仮)はあっという間に炎に包まれ、奇声をあげた。辺りには、芳ばしい香りと草木が燃える匂いが漂う。
「……スライム(仮)ってキャアって鳴くんだ……」
あまりの展開についていけなくて、そんな事を呟いた大助は、ただ燃えるスライム(仮)を見つめることしか出来なかった。