第一話 ガセネタ?
株式会社あくまーと業務報告No1
報告者:エレン
「ねぇねぇ、あくまーとって知ってる?」
「知ってる!何でも願いを叶えてくれるっていうサイトでしょ?」
放課後、ファストフード店で勉強をしていたら、後ろの席に座っている女子高生2人の会話が耳に入ってきた。いつもなら聞き流している周りの雑音。だけどこの女子高生の会話はなぜか私の耳から離れなかった。
「でも怪しさマックスじゃない?」
「えー!でもでもぉ、私の彼氏のおねぇちゃんの、友達が叶えて貰ったんだって!」
かなり遠い関係だな、おいっ
と心の中でツッコミを入れながら女子高生の会話に耳を済ます。
「だけどさ、そのあくまーとってサイトにアクセスしても願いを打ち込む場所なんてどこにもないんでしょ?」
「そーなんだよね。私も試してみたけどダメだったよー」
「やっぱガセネタだよ、これ。」
ガセネタと聞いて私はああ、やっぱりと思ったと同時に少し残念だなと思った。
意識をテーブルの上に戻して勉強を再開した
瞬間
「あくまーと、気になるの?」
ふいに隣の女の人が私に話しかけてきた。
隣をみると大学生だろうか?栗色の髪の綺麗な女の人がポテトを食べながらレポートらしきものを作成していた。
「え、えっと…」
私が困ったように声を出すと、その女の人は
あっ!全然怪しいものではないのよ!といって慌てて手をパタパタさせた。
「私も後ろの高校生の会話聞いててね、ガセネタって言った瞬間にあなたが勉強再開し始めたからもしかしたら話聞いてたのかなーって!」
「そ、その通りです…」
やっぱり〜っていって女の人は笑った。
どうやら怪しい人ではないようだ。
「実は私、大学のサークルであくまーとのこと調べててね。とっておきの情報教えてあげる」
「とっておきの情報?」
「実はあくまーとのサイト自体はガセなんだけど、あくまーとは本当に存在するの」
「どういうことですか?」
「別に願いを打ち込むためのサイトがあるんだって。」
「別のサイト….?」
「ここからは私も半信半疑なんだけどね、本当に自分じゃどうしようもできなくて、あくまーとに叶えてもらいたい願いがある人にだけ、別のサイトのURLが見えるんだって」
「ある人は公園の落書きの中にあったり、ある人はタウンページに書いてあったり、とかね。」
「そんな話が本当に存在するんですか?」
私が質問すると女の人は少し微笑んでから言った。
「信じる信じないは自由だけど、もし本当にあなたに叶えてもらいたい願いがあるならあくまーとのURLが見えるかもね」