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うろな高校駄弁り部Ⅱ  作者: アッキ@瓶の蓋。
孔雀小明と天ノ岩常闇の章
25/29

9月8日 満月の闇

 9月8日、天候くもり。十五夜の日。

 そもそも孔雀明王の生まれ変わりである私、孔雀小明(くじゃくあかり)がうろな町と言う、大きな日本の中でも辺鄙(へんぴ)な場所に来たのか。それには理由があった。それはうろな町にあった物や人が、孔雀小明に興味を示していたからである。けれども私がうろな町に来たのには、うろな町に元からある物や人でもなかった。


 うろな町には色々と魅力的な物、魅惑的な所、蠱惑的な人が居る。

 陰陽師や巫女、幽霊憑き。悪魔、ツチノコ、先生、天狗、土地神に妖狐。鬼、精霊、宇宙人にアイドルなどと言う蠱惑的な奴らが多い。それにそいつらが持っている物は珍しく、うろな町にも色々な場所がある。そう言った物のどれにも私は……いや、孔雀明王は興味を示していなかったのである。


 孔雀明王、つまりは私が一番興味を示したのは、うろな町に新たに入った物である。いや、うろな町に逃げ出した物であると言った方が良いかも知れない。


 私が興味を示した物、それは自分に良く似たものだった。私と同じく神に近しい何かが人へとなったものに関心を持っていた。

 確証はないが、一番確実ではあった。ここに居るだろうなとはなんとなく思っていたが、見つからなかったら他の場所を探すのも検討に入れていたが、見つかったのには嬉しい限りである。

 そしてそれが……遂に見つかった。


「……見つけましたよ」


 と、私は満月が輝く十五夜の日に、うろな町の橋の上にてそいつを見つけた。


 そいつは闇を抱えた、影を抱えている黒髪美人だった。黒い長髪は蛇のように渦巻いていて、その瞳は何も映していない闇を見据えてるような瞳。全身真っ黒のドレスを着ていた女性。こちら側から闇を見ているような気分になるような、そんなブラックな女だった。

 そしてそんな女に対して、私は名前を呼ぶ。


天野岩常闇(あまのいわとこやみ)……」


 そう言うと、天野岩常闇と呼ばれた黒髪女性は大人びた、いや闇を具現化したような声で私に声をかけ始める。


「もう見つかるとは思っても見なかったのでし。まぁ、合格点……いや、"()"から情報を得ているとしたら、情報を得て探しているのだとしたら及第点でし」

「彼……天塚柊人さんでしょうか?」


 天塚柊人は私の関係者だ。それもかなりの近しい関係である事は言うまでもない。そんな彼に対して天野岩常闇が伝言か何かを言っていたのだとしたら、分からないものでもない。


「天塚柊人からは……会いはしましたが、何も報告は受けていませんね。あなたの事について」

「あの男は……報告はしてないでしか。まぁ、頼んでも無いから良いでしが。なら、合格点を差し上げますでし」


 そう言って花丸を出す天野岩常闇。その全身から闇を放出しながら、不敵に笑みを浮かべる常闇を、私は見つめていた。


「考えは変わらない、ですか?」

「老兵は過ぎ去るのみ、でし。あれだけ栄華を誇っていた神は幽世(かくりよ)へと消え、この地で増えていた文明人達も消え去って行ったのでし」


 常闇は全身から漆黒の闇を出しつつ、その常闇から出された闇が剣を持った黒い魔神へと変わる。それに対して私は全身から白銀の光を放ち、その放った白銀の光が拳を強く握りしめる白い魔神へと変わる。


「私は……必ずこの白い魔神と力で、あなたを止める! あなたの野望は、ここで打ち砕く!」


 その言葉に、常闇はニヤリと笑みを返す。


「どうにもこうにも、関係ないでし。

 ……まだ問題の日、Xデーには時間があるでし。それまでに止められる物ならば止めて見ろでし。それでも誰も微笑まないですし、どうせもうすぐ(・・・・)終わる(・・・)のでしから」


 常闇はそう言って橋から飛び降り、私は彼女を逃げさせてしまった事に対して、イラつきつつ橋に拳を叩きつけていた。


 もうあまり猶予は残されていない。

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