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うろな高校駄弁り部Ⅱ  作者: アッキ@瓶の蓋。
梅雨降る6月から晴れ渡る7月編(仮)
20/29

7月21日 絵理奈の買い物日和

 7月21日、天候晴れ。

「さぁ、今年も暑い夏が、メイドの夏が来ました!」


 さんさんと太陽が射す夏の日、うろな町北にある隠れ名店である【大光寺家】で働いているメイドの中のメイド、絵理奈は全体的に質素なメイド服を着込んだままで勢い良く宣言をしていた。

 絵理奈は九十九神、メイド服から生まれた九十九神である。九十九神とは物が長年の間に渡って大切にされた事によって生まれる妖怪の一種であり、その本質は元となった物の本質が色濃く表れる。水に関係ある物から生まれた九十九神は水が好きだったり、文房具から生まれた九十九神は勉強が好きだったりするのである。そしてメイド服から生まれた九十九神である絵理奈は、メイド服の本質、つまりは奉仕が大好きなのである。


 奉仕。サービス。奉公。

 人に尽くし、仕え、持て成す。そう言った人のために何かすると言うのが絵理奈は大好きなのである。


 そしてそんな絵理奈が一番気合を入れる季節が、夏なのである。花火大会や海、山でのバーベキューなどと言った楽しい行事が多く、さらには夏休みとして子供達が遊びを謳歌する。

 人に奉仕するために生まれてきた絵理奈にとって、これ以上ないほどの季節なのである。


 まぁ、その肝心な奉仕すべき相手は190はあろうかと言う、ヤクザに間違われる大男であり、年がら年中季節を感じないような生き方をしている人物なのだけれども。それなのにも関わらず、作るのは季節感を意識した料理を作っているのだから、なんか激しく損をしている気分になるのだけれども。


(私としてはもっと……奉仕するための場を増やして欲しいんですけれどもね。あの人はそう言った事がないから別の人に乗り換えた方が……。

 いや、何を考えているんですか、私は! 私が使えるのは私を拾ってくれたあの物成さんだけ! そう、私は私であるがために約束したじゃないですか!)


 よーし、今年の夏のために頑張りましょう! 私は自分でそう強く目標を宣言をして、物成さんに頼まれたお買い物をまずは遂行させようと思ってまずは店へと向かっていた。


 醤油に牛乳、塩。砂糖にみりん。卵。見事なまでの消耗品の補充と言う形の買い物で、私の奉仕精神は少しは満たされた。でも、なんかこう私の心を満たしきれていないと言うか……。


「ただいまー……」


 そう思いながら帰って来ると、そこにはスイカを持った物成さんの姿がそこにはあった。


「おぉ、絵理奈。帰って来たのか」


「物成さん、それは……?」


「スイカ、貰ったから絵理奈、食べないか? お前、スイカ好きだろ?」


 と、そう言って熟れた、美味しそうなスイカを見せて来る物成さん。そしてスイカが大好きな私は、嬉しそうな笑顔で


「わーい! スイカ、大好きですー!」


 と、嬉しそうな声で言うのであった。


 私の夏はだいたい、そんな感じで進む。

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