5話
読んで頂ければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
封印の地ー迷わしの森にて…。
森の入り口付近に2種類の魔法陣と白虍が現れる。
「後はカルヴァだけだのぅ。」
「いえ。もう来るようですよ。」
ジュリアスが指す方に翼竜が見えてくる。
「俺が翼竜を向かわせた。あいつはドルヴィに信用無いからな。おそらく溜まりに溜まった書類を書かされて居るだろうと思ってな。」
「その通りでございます。グラヴァル王。」
アウルディスが理由を告げた後に発せられた声に振り向くと、黄色の腰まである髪をポニーテールに縛り、前髪をもみあげ辺りに細工の施された髪留めで留めた兎人族の青年に引き摺られながらカルヴァがやって来た。
「俺だけで行くつったら、こいつも行くって聞きゃしなかったからな。」
「当たり前です。陛下は一旦城の外に出ると数ヶ月はお帰りになられないんですから。今回は仕方ないので、これが終わり次第溜まりに溜まった仕事を今度こそ終わらせて頂きますよ!その為に監視役として参りました。他国の方々に王の監視役をしてもらうのは恐れ多いですから。」
「カルヴァ…相当信用ないのぅ…。」
「うるせぇ」と香蘭の言葉に反発するが、自分でもその通りだと思うのでそっぽを向くカルヴァだった。
その直後ゆっくりと太陽が欠け始め、不思議な光が辺りの空を覆い始める。
その日から人々は語り始める。空に広がる不思議な光景を。空から何処かへ伸びる光の柱はまるで何かの祝福をしているようだったと。そして虹色のカーテンの様な光は何かの誕生を待ちわびたかの様な光だったと。
人々は語る。その不思議な光景を境に妖魔の脅威はゆっくりとなりを鎮めて行ったと。
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空に広がる不思議な光が漸く収まり、太陽に光の輪が出来ると森の深部へ目掛け光が伸びる。彼らはそれを見届けると深部を目指し足を向ける。
しばらく歩いているととある違和感が四人を襲い、カルヴァが呟くように言う。
「なぁ…おかしいと思わねぇか?」
アウルディス達は顔を見合わせ頷く。
…森の中を歩いているが不思議な程、魔物に遭遇しない。やっと魔物を見つけても全て逃げてしまう。
まるで何かに怯えるように…。
「皆、気付いているな…」
「…そう簡単にはいかないですね…」
「……何も無いと良かったがのぅ…」
「…ったくよ…あと少しって所でよ…」
目の前に現れたのは妖魔・巨人だった。
しかし、此方に気付いている訳では無くゆっくりと歩いていた。それは何処かに向かっている様子だ。
「あの方角は時代樹の方角じゃぞ。」
巨人の先には、天に届きそうな程高く聳える大樹があった。
巨人はアウルディス達に目を向けず一目散にその大樹に向かっている。
時代樹とは全世界に2本しか無い木でこの世界が生まれる前…つまりこの世界が地球と呼ばれていた頃からある木である。
「いや…時代樹では無い。おそらくあの神殿に向かっているのだろう。」
アウルディスが指した方角には岩壁に埋め込まれた巨大な扉があった。
無理やりたどり着いた感満載…。
次回、精霊王サイドになる予定です。