4話
遅くなりましたがお楽しみ頂けたら幸いです。よろしくお願い申し上げます。
「…さて。…皆揃ったのなら話を進めようかの。」
束の間の沈黙を破り香蘭が話題を振ると、アウルディスも頷き空いた席にすわる。
「早速ではあるが…【封印の地】…についてだ。」
「…封印の地ですか?」
「あぁ。ある程度はそれぞれの使者から聞かれていると思うが───」
「ちょっと待ってくれ。俺は殆ど聞いてないに近いぞ。俺んとこに来た使者はアクラム様だったからなぁ。」
カルヴァがアウルディスの言葉を遮り、なんとも言えない顔をしながら答えた。
「『カルヴァ。精霊王が目覚めるぞ。詳しい事はファナリス様がグラヴァルの王に伝えるらしいから、そん時聞け。』って言うだけ言って帰ってった。」
そう、カルヴァが答えると再び沈黙が部屋に降りる。
「アクラム神もめんどくさがりですからね。」
「…この王して彼の神ありじゃの…。」
この世界の神は祖神であると同時に四神であるため、其々守護する国が存在する。太陽神アクラムは焔と土を司る獣神である。その姿は金の鬣をもつ獅子。
守護する国は獣人国【アルマリア】。
他に月神セルラム銀の虎。
守護する国は【セントクラリス】。
【魔国】を守護するは冥神黄泉。
主神であるファナリスは【グラヴァル】を守護する。主神が依怙贔屓なんてと思う者もいるだろうが、この世界の神は基本いい加減なので気にしないで頂きたい。
「んで。精霊王が目覚めるってどうゆうこった?」
再び沈黙状態だった部屋が、カルヴァの問いで元に戻る。
「…そうだったな。まず我の国の海岸沖に現れた島。その島の影響で魔物が妖魔化した。それは感知しているな?」
「あぁ。今の俺らの力では妖魔一体を倒すのが精一杯だ。」
「次にあの島に眠っているモノは四神方でも不可能らしい。」
「…んだと⁈」
アウルディスの言葉にカルヴァは驚き、後の2人は頷く。
「四神が無理なら俺らでも無理じゃねぇか!」
ドン!と机を叩きあげる。
「カルヴァよ。慌てるでない。」
と宥める魔王香蘭。
「そうですよ。カルヴァ。そこで精霊王が出てくるのです。」
香蘭の後を聖王ジュリアスが引継いだ。
「どうゆうこった?」
落ち着きを取り戻したカルヴァは椅子に座り直し続きを促す。
「ファナリス様が言われるには聖霊王が妖魔を倒す為の近道だと…。その聖霊王が眠るのは封印の地であると。そして目覚めの日は太陽が金の輪となる日だそうだ。」
アウルディスが語り終わると、香蘭は顎に拳を置いて考え話し出す。
「…成る程のぅ。…おそらく封印の地とは迷わしの森の事じゃろの。」
「香蘭殿。知っているのですか?」
「ほれ。そなたの国との境にある妾の国にある森じゃ。」
「あぁ。あの森ですか。確かにあの森は奥に行くほど何かを護っている様な意思が働いていますね。」
香蘭が例にあげた森をジュリアスは同意した。
「じゃろ?」
「だったら、太陽が金の輪となる日っつうのはどうゆうこった?」
「太陽が金の輪となる日とは、太陽と地球と月が一列に並ぶ日だそうですよ。聖霊達がそう語っています。」
カルヴァの問いにジュリアスは答え、アウルディスが更に問いかける。
「聖王。それはいつか分かるか?」
「おそらく今日より2日後正午。」
「そうか。聖霊王復活の日は四人とも揃っていた方がいいだろうな。でなくば、四人が四人とも違う神託を受ける訳がない。」
「確かにのぅ。聖霊王復活時に何かしら有る事を想定しておかねばなるまいの。」
…と魔王が言えば。
「では、2日後森の入り口付近に朝の2の刻に集まりましょうか。」
…と聖王が場所と日時を告げ。
「しゃーねぇな。久々に国に帰るか。ドルヴィに話してやらねぇーとな。」
…と獣王が仕様が無いと言う様に応えた。
「…カルヴァ。君は帰ったらドルヴィ君に謝りなさいね…。」
最後の獣王の言葉に聖王ジュリアスは窘め、香蘭とアウルディスは同意する様に頷いた。
「ん?」
そんな彼らの反応にとぼけた顔で返した獣王カルヴァだった。
迷わしの森の最深部……。
《思い出した……。あの時全てが終わり、また始まるのか…。今度こそ僕は…………。》
前話で封印の地に行くと予告しましたが、話が長くなったので二つに分けます。
すみません^_^;
次回。今度こそ封印の地へ。