戦いは剣のみにあらず
前回から引き続いてノルトの王宮の中
フェアネス王国はあまりにも長い間平和に浸かりすぎていた。
ただ歴史の古さでけで上位に祭り上げられていたことも自分達の平和の危うさというものに気づくことが無かった。
自分達が欲しいと思ったものがたまたま、他国の認知されていなかった王子あっただけのこと。
使者はなぜ怒号が飛び交っているのかさえ理解できていなかった。
ドルマン帝国の使者はクリスの竜帝の紋章の意味を正確に理解し、それを手に入れたいと思っていた。
他国がどうなろうとよいのだが、自分達はクリスが欲しいのだ。
だから、慎重に言葉を選んだ。
「少しお静まりください。ノルト王家に非は無いのです。クリス殿下の力は、あとで手に入れた紋章によるものです聖痕ではありません。我が帝国はノルト王国を協約で結ばれた友として尊敬しております。でなければなぜにクリス殿下を迎え入れたいなどと言い出しますでしょうか。」
使者はこれで皇国に勝ったと確信した。
この際もっとノルトに借りを作らせて置こう。
「双子のマレリウス殿下に聖痕が二つ有るのは有名な話です。クリス殿下の血を疑うものなど降りませんでしょう。正式に王族としてお認めになられてはいかがでしょう。」
これこそ国王夫妻が欲しかった言葉のはず。
他人の秘め事を除くことだけが趣味のロアンの日記には事細かく書いてあった。
使者は躍りだしたい心を抑えて、控え室に退出した。
呼吸を忘れるほど話される内容を一生懸命聞いていたマリスには、自分の兄弟が誰だかすぐに分かった。
クリスはあまりにも母に似ている。
「父上、門に赤旗が必要でした。タルム村のクリスには婚約者がいます。」
王と呼ばれる男は浮き上がった心がまた沈むのを感じた。
「協約だ、しかたない。」
次回から主人公目線に戻ります。
逃げる。戦う。流される。
それとも
次回から一日一回以下になると思います。
いいのが書ける様にがんばります。