No.99:記憶の底にある残像と
がしっ
大場(…!?)
『け…け…け…。慶大?』
(甲子園。行ってね。)
すっ…
大場(今のは…確かに…慶大だよな…。)
(甲子園行ってね。か。アイツの夢だったっけ。甲子園で優勝してプロになるっつってたな。)
ふっ…
大場(おい…。今、西口が慶大に見えた気が…。)
西口(翔真…先輩…?またボーッとしてるのか?)
ニコッ
西口がマスク越しに笑う。
大場(拓磨…。お前って…まさか…。…。…そんなわけねえか。慶大は死んだんだ。)
西口(セットが長いな…。)
渡辺『タ、タイム!』
『さあ長い間を取るピッチャーの大場にしびれを切らしたのか、バッターの渡辺がタイムをとります。そして主審が大場に注意をします。試合の間延びを嫌う高校野球ですからおそらく早く投げなさいということでしょう。』
大場(バカだな。俺って…。何が苦しいだ。何が力がない。出ないだ…。野球やりたくてもできずに死んじまうやつもいるのによ…。贅沢言ってたんだな。野球やれるだけで幸せ。マウンドに立てるだけで幸せだろ!なのに…なのに…俺は…。こんな不様な姿見て慶大、何思ったかな…。悪いな。慶大。代わりといっちゃなんだけどよ…行こうな。甲子園。)
『さあようやくセットポジションから足をあげる!!』
渡辺『この感じ!!ストレートだ!!!!』
大場『俺には味方がいるんだ!!!!一人でマウンドに居るんじゃない!!!!!俺は常に、』
『『『安田慶大って男の魂と一緒にマウンドに上がっているんだ!!!!!!!!!!!!!!』』』
ビュウッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!
カッキィィーーーーーーッッッッンッ!!!!!!!!!!!!
『打球は痛烈なライナー性だが!?いや、伸びるぞ!!!!!!!!!!ライト鬼頭バックする!!!!!!!!!!!フェンス際だ!!!!!!!!捕れば勝利!!!!!!!抜ければ逆転サヨナラ負け!!!!!!!!!!!!!!』
鬼頭『享神とやるのは、俺たちなんだぁーっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
バシッ!!!!!!!ガツッッッッッ!!!!!!!!
『ライト鬼頭、フェンス直撃しながらのスーパーキャッチ!!!!!!!!!ゲームセット!!!!!!!!!!!愛知県立邦南高校!!!!!!!!優勝候補の私学の強豪、猪子石高校を12-11で破り、夢の決勝戦進出!!!!!!!!!』
大場『勝った…。』
西口『やった…やったぞ!』
渡辺『最後の1球…球速も135km/h…なのに…クソ!!!!!!!!!!』
小木曽『終わった…。のか…?』
大平『うん。整列だ。行こ…。』
小木曽『はええ…はええよ俺の夏の終わり…。』
根本『う…うっ…。』
『『『『ありがとうございました!!!!!!!!!!!』』』』
『享神に春の大会のリベンジを誓った猪子石ナインにとっては早すぎる夏の終わり!!!!!!しかし敗れた猪子石の選手たちもよく頑張りました。』
桜沢『ヒロ。勝ったか。こりゃ。愛知県大会も楽しめそうだぜ。』
小木曽『大場!!』
大場『?』
小木曽『勝てよ!明日!!享神は俺達よりも強いぞ!!』
大場『はい。あなたの代わりに享神を倒してきます。』
小木曽『頼んだ…。……。…。ぞ…。』
邦南高|000 030 004 000 5| 12
猪子石|000 000 070 000 4| 11
邦南高校!全国高等学校野球選手権愛知県大会、決勝進出!!!!!!!