No.89:心配無用
『2番、センター、慶野くん。』
渡辺『タイムお願いします。』
『タイム!!!!』
笠井(センターも交代だな。痛みが隠しきれてないみたいだしな。)
『猪子石高校、シートの変更をお知らせします。』
守備位置の変更↓↓
8:坂本良→斎藤
『さあ猪子石高校内野陣、マウンドに集まります。』
芝田『やっぱサッチャンどっか痛めたっぽいね…。』
坂本成『さっきのフェンス激突のプレーか…。』
根本『サッチャンも全力プレーでやったんだ。アイツのためにもここで負けらんねえよ。』
渡辺『ヤス?いけそうか?』
小木曽『いける…やってみせる…。俺は猪子石のエースだ…。』
渡辺『相当球は来てないぞ。無理してるなら大(芝田のこと)と代われ。』
根本『ちょっとカズキ!!』
坂本成『まて。ねもちゃん。』
小木曽『任せろよ…。俺はやるぞ…。』
日根野谷『ヤスくん…。』
渡辺(おまえ…もう限界のくせに…。無理しやがって…。言わなきゃ…ヤスはもう限界なんだ。次の慶野はミートの巧い俊足のバッターなんだ…。ヤスの球じゃもう抑えられねえかも知れねえ…。)
小木曽『絶対に抑える!だからみんな帰ってくれ!』
根本『おう!頼んだぜ!ヤス!』
芝田『やっぱ俺の出番じゃねえよな!!』
坂本成『俺らがサヨナラ勝ちしてやるからよ!!』
日根野谷『頼みましたよ!ヤスくん!』
小木曽『おう!』
渡辺(言わなきゃ…。言わなきゃ…。)
『ヤス。』
『なんだよ?』
『…。ヤス…。』
『だからどうした?』
『なんでもない。』
小木曽『どうしたんだ?カズキのやつ…。』
『プレイ!!!!!!!』
渡辺(言えなかった…。エースの恋女房の俺が言えなかった…。本当に抑えられるとは到底思えねえよ…。)
『小木曽がセットポジションから足をあげて投げる!!!!!!』
ビュウウウッッッッ!!!!!!!
慶野『は!?!?』
ズバーーーーーッッッッッーッン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
《 151km/h 》
渡辺(え…。)
『ストライク!!!!!!!!』
小木曽『どんなもんじゃい…。カズキ…。』
ビュウウウッッッッ!!!!
ズバーーーーーッッッッッーッン!!!!!!
《 151km/h 》
『ボール!!!!!!!』
『これは惜しくも外に外れてボール!!!!!!ただここにきて150km/hオーバー連発!!!!!!!!』
渡辺(心配…無用だったみたいだな!)
ズバーーーーーッッッッッーッン!!!!!!
『ストライク!』
『慶野は振り遅れてカウント1ボール2ストライク!!!!!!』
小木曽『おりゃあ!!!!!!』
ビュッ!!!
慶野『ふんがっ!!!!!』
カクッ!!!!!!
渡辺(よし!!!)
ブンっ!!
慶野『くそっ…。』
『高速スライダーで空振りの三振!!!!!今日17個目!!!!!!なんとか同点までで踏ん張った!!!!!!!これが猪子石のエース小木曽の底力!!!!!!』