No.80:無死満塁
『ストライク!!バッターアウト!!チェンジ!!!』
『8番新谷は見逃しの三振!!!!これで毎回の12個目の三振を奪ってきました!!大場翔真!!!!!』
試合は小木曽、大場の両軍エースの引き締まる投手戦で6回、7回も両チームランナーすら出せず無得点。
猪子石のエース小木曽は、7イニングを投げ被安打4、奪三振13、四死球0、失点3。
一方邦南のエース大場は7イニングを投げ初回の先頭打者根本のヒット、芝田の詰まったヒットの2本しか許さず、毎回の15奪三振、四死球0、失点0。
試合は3-0の邦南3点リードで8回の表、邦南の攻撃が始まる。
『8回の表、邦南高校の攻撃は、8番、レフト、木村くん。』
大場『タロ先輩!!!!打ってください!!』
松坂『キムタロ!!かっ飛ばせ!!フルスイングだ!!』
ドガンっ!!
『空振りの三振!!!!!小木曽もこれで14個目!!!!!』
《 143km/h 》
谷口『序盤に比べると若干球威が落ちてきましたね。』
高田『いや、下位打線には本気を出していないんだろう。小木曽は実力は勿論のこと、マウンド捌きや打者心理を読むのにも長けている。これらを含めてドラフト1位候補と言われている。』
『9番、ショート、島谷倫暁くん。』
野中『下位打線じゃ手が出ないだろうな…』
カーン!
渡辺『ショート!!』
日根野谷『あいよ!』
『アウト!!』
『ショートの2年生、日根野谷が捌いてツーアウト!』
『1番、ライト、鬼頭くん。』
川越『打線の巡りが悪いな。』
野中『ああ。チームトップの打力を持つ鬼頭を1番ってのはな…。』
川越『今日も邦南の4安打の内、2本が鬼頭だしな。』
野中『打席が回ってきても前にランナーがいなきゃ勿体無いよな。特に鬼頭の場合は。』
川越『3点リードも相手が猪子石じゃあセーフティーリードとは言えない。』
野中『猪子石は後攻だしな。』
鬼頭『俺が切り開く…。3点じゃ足りねえ。』
小木曽『くらえ!!』
ズバーーーッッッーン!
《 151km/h 》
『ストライク!!』
『なんと8回にきて今日最速の151km/h!!!!!!』
鬼頭『くっ。速いな…。』
小木曽『どりゃ!』
ズバーーーッッッーン!
《150km/h》
『150km/h直球に空振り!!!!さあ小木曽、好打者鬼頭を2球で追い込んだ!!』
ズバーーーッッッーン!
『ボール!!!』
バン!
『ボール!!』
『低めのチェンジアップを見極めてこれでツーボールツーストライク!!』
鬼頭『勝負に来るな。』
小木曽『3点ならまだいける。見方の援護を信じて…コイツを撃ち取る!!』
ビュッ!
鬼頭『予想通りの直球勝負!!!!!!』
ズバーーーーーッッッッッーッン!!!!!!!!!
《 152km/h 》
『ストライク!!バッターアウト!!チェンジ!!!!!!!!』
『自己最速タイの152km/hで真っ向勝負!!空振りの三振に斬ってとった!!!!!!!!!!』
小木曽『しゃああああああ!!!!!!!!』
鬼頭『これがドラフト1位候補の実力か…。』
『8回の裏、猪子石高校の攻撃は、6番、センター、坂本良太くん。』
大平『サッチャン!(坂本良太のアダ名)絶対出ろよ!!!!』
坂本良『おうよ!』
西口(翔真先輩は今まで7イニングで91球。完封ベースだ。球数だけで言えばの話だが。でもな…初回から全打者全力投球だからな…。)
ビュッ!
西口(甘い!)
坂本良『隙有り!!!!!』
カキーン!
『打った!!ライト前に運んだ!!これでノーアウトランナー一塁!!!!』
小木曽『久々のランナーだな。』
根本『うん。初回以来じゃない?』
芝田『そうだな。』
西口(ど真ん中だったが振り遅れて詰まった感じのライト前ヒットか。まだ球威があるって証拠か。)
『7番、ライト、大平くんに代わりまして、代打、児玉くん。』
大平『ヒロキ!(児玉のアダ名)打てよ!』
児玉『おう!』
西口(左の代打か。やはり猪子石。右打者の方が翔真先輩は得意にしていることを知っていたか。)
児玉(久々のセットポジション。リズムが少し変わるはず。だからもっともっと俺が…)
スッ…
『セーフティバントだ!!』
(呼吸乱してやらないとな!)
コン!
西口『サード!』
松坂『わかってる!!』
『サード松坂バント処理はどうだ!?素手でつかんで一塁へ送球!!!!!!バッター児玉は一塁ヘッドスライディング!!!!!』
『セーフ!セーフ!』
『ここで内野安打が出た!!!!!代打児玉の意表をつくセーフティバント!!!!!これでノーアウト一二塁!!!!!!』
川越『サード松坂の一歩目が少し悪かったな。』
野中『ああ。だが今まで大場の奪三振ショーで内野陣があまり足を動かしてなかったのは事実だがな。』
川越『奪三振の小さなリスクがここにきて大きく出たか。さあこの回が正念場だな。』
野中『ノーアウト一二塁…。』
『8番、レフト、新谷くんに代わりまして、代打、井上くん。』
児玉『ゆうた!(井上のアダ名)続けよ!!』
…
……
『フォアボール!!!!!フルカウントから5球粘って大きな大きなフォアボール!!!!!!8回の裏、3点を追う愛知の強豪猪子石高校、ここにきてノーアウトランナーフルベースの大チャンス!!!!!!!!打席には9番の2年生、日根野谷くんが入ります!!!!!!』
『9番、ショート、日根野谷くん。』
小木曽『ヒネ!!!!!(日根野谷のアダ名)おいしい場面だ!!!!!もってけコノヤロー!!!!!!!!』
西口(3点リードだがノーアウト満塁の大ピンチ。)
大場(逃げ場無し。全力勝負だ。)