No.76:小木曽泰大 対 大場翔真
小木曽『2年生サウスポー、149km/hか。』
マウンド上の小木曽がふーっと息を吐く。
小木曽『相手にとって不足なし。むしろそっちのが…』
『燃えるぜ!!!!!!!!!!』
ズゴン!!
《 149km/h 》
『ストライク!!』
高田『同じ149km/hでもこうも違うのか。』
谷口『小木曽のまっすぐも申し分ない程キレている。なのにこの差はなんなんだ?』
高田『球が自分から打者に向かっていくようなあの大場の球。なあ谷口?こりゃ金の卵だ。事務所に調査を依頼しろ。』
谷口『わかりました。』
『空振り三振!!!!!!小木曽のウィニングショットの高速スライダーで5番氷室を空振り三振に斬ってとった!!!!!』
ズバン!
『ストライク!!バッターアウト!!』
ズバン!
『ストライク!!バッターアウト!!チェンジ!!!!』
『7番の松坂も三振でこれで5連続!!!!!小木曽、圧巻のピッチングでこの回も無失点!!!!』
川越『邦南自慢の打線もこのレベルのピッチャーと当たるとさすがにキツいか。』
野中『やっぱドラフト1位候補ってのは違うんだな。速球も150km/hオーバー。決め球の高速スライダーで打者を圧倒。』
川越『今日はまだ見せてないがチェンジアップやカーブのキレ、完成度も相当高いみたいだ。』
谷口『やはり小木曽は他の高校生と比べ物になりませんね。こりゃものが違います。』
高田『そうか?俺には大場くんの方がいい最終的に上になると思うけどな。』
谷口『と…言いますと?』
高田『小木曽も勿論高校生としては申し分ない。ドラフト1位候補というのも納得だ。享神さえ愛知にいなければおそらく小木曽のいる猪子石が今まで甲子園に出ていただろう。ただ…』
高田『小木曽と大場じゃ、這い上がってきた努力が違う。小木曽を低く評価してるわけでは全くない。ただな、大場の方が長年高校生担当のスカウトとしてやっている俺には純粋に輝いて見える。』
谷口『そんなこと、僕にはわかりませんよ。』
高田『ははっ。当然だわかぞうよ。』
『ストライク!!バッターアウト!!チェンジ!!』
『空振りの三振!!!!!!!猪子石のエース小木曽が2回の表、三者三振に斬れば、邦南のエース大場も三者三振に斬ってとった!!!!!!』
川越『すげぇ闘いだな…。』
野中『ああ…。』
川越『この試合、長くなりそうだ。』