No.72:ドラ1候補
『さあ始まりました!!時刻は現在午前9時!!ここ瑞穂市民球場で行われる全国高等学校野球選手権愛知県大会準決勝、優勝候補・猪子石高校vs愛知県に今、旋風を巻き起こしている県内屈指の進学校・邦南高校の注目の一戦!!!!!!』
川越『今日の試合はほぼ大場くんの出来に懸かっていると言っても過言じゃないな。』
野中『ああ。なんたって相手は猪子石。しかもエースの小木曽は難攻不落。だが大場はいまいち安定感に欠ける。そしてスロースターターという一点勝負の試合では致命的なステータスを持っている。』
川越『上社西戦の雨で中断した後のリリーフの時のようなピッチングを続ければ邦南にも十分チャンスはある。』
そのころ…
下村健太『俺も猪子石にするか愛農大名林にするか迷ったんだよ。』
長岡『フン。知るか。てかなんで俺もお前の高校野球観戦についてこなくちゃならねえんだよ。』
下村健太『まあそう固いこと言うなよ。楽しもうぜ。』
…
飯尾『楽しみな対戦だな。』
谷『ああ。だけど総合力では完全に猪子石の方が上だ。まあ邦南がどう戦うのか見ものだな。』
カキーン!
飯尾『さすがの鬼頭だな。1打席目でいきなりクリーンヒットか。』
谷『あいつさえいなけりゃな。まあ終わったことに言い訳してもしゃーねえか。』
『2番、センター、慶野くん。』
コン!
『さあ手堅く送ってワンナウト!いいバントです!!これで一死二塁です!!』
『3番、ピッチャー、大場くん。』
小木曽(おいおい…。なんか圧されてるみたいだけどよ…。)
渡辺
(見せてやれ。お前の高精度のボール達を。)
『さあ初回、いきなりチャンスで3番の強打者大場を迎えた邦南高校!!!!!このチャンスをものにできるか!?』
ビュッ!!!!!
ズバーンッ!!!!!
《 146km/h 》
大場(速いな。しかも相当手元でピュッとくる。)
『さあ第2球投げた!』
フッ!
バン!!
『ストライク!!ツー!!』
大場(チェンジアップか?くそ、追い込まれた。次は外の変化球かストレート…?3球勝負か…?情報だと他にスライダーもある。いや、初回から3球勝負はない。外の変化球を狙うか。だけどボール球に手を出すのは厳禁っと。)
渡辺(初回から飛ばしていくぞ。)
小木曽(当たり前だろ。どんなバッターにも容赦はしねえ。)
『セットポジションから第三球、投げた!』
ビュッ!!
大場(くそ!内角直球!?クロスファイヤーか!!)
(3球勝負?ダメだ…。手がでねえ…。)
ズバーーーーッッン!!
審判の手が上がる。
『ストライク!!バッターアウト!!!!』
《 150km/h 》
『150km/hのストレートので空振り三振!!!!!!3番の大場くん、手も足も出ず!!!!!』
下村健太『初回からいきなり150km/hオーバーとか…やっぱすげえな…。ドラ1候補ってのは…。』
小木曽(これで二死二塁。冷静にいくぞ。)
渡辺(ドンドン攻めていくぞ。)
小木曽(おう。)
…
『ストライク!!バッターアウト!!チェンジ!!!!』
『アウトロー直球ギリギリ一杯のところを攻めていきました!!!!!1回の表、邦南高校、スコアリーグポジションにランナーを進めたんですが、無得点に終わりました。』
鬼頭『翔真、切り換えや。』
大場『わかってます。』
大場(え…。まさか…もう…。いや、聞き間違えか…。)
『さあ1回の裏、マウンドに上がります、邦南高校のエースナンバーをつけた大場くんのこれまでの投球成績です。』
【大場翔真】
投球回…37
失点…17
奪三振…50
被安打…37
四死球…11
『そしてこれが一方の猪子石のエース、小木曽くんの投球成績です。』
【小木曽泰大】
投球回…30
失点…2
奪三振…54
被安打…13
四死球…6
『1回の裏、猪子石高校の攻撃は、1番、セカンド、根本くん。』
『さあ今大会チーム打率.450を誇る猪子石高校の攻撃!!バッターは1番根本くん!!』
根本(初球…)
『攻撃!!!!!!』
カキーン!
『打ったーっ!!いきなり先頭の根本くんがヒットで出塁!!!!!これでノーアウト一塁!!!!!!』
『2番、ピッチャー、小木曽くん。』
コン!
『さあうまく送ってワンナウト一塁になりました。1回の裏、猪子石高校の攻撃。1回表の邦南高校と同じ状況で3番の芝田を迎えます。』
『3番、サード、芝田くん。』
野中『ズルズルいくなよ…。』
川越『先制点だけは絶対にやっちゃダメだ。』
大場(ツーアウト三塁でオッケー。打たせていくぞ。)
芝田(情報ではMAX149km/hのストレート、決め球によく使うフォークと使用頻度はあまり高くない高精度のフォーク。あとはカーブ。カーブはかなり制球は良いみたいだ。高精度のフォークは基本的に勝負どころでしか使ってこない。)
芝田『準備完了。今から大場翔真の出鼻を挫く。』